日本取引所グループ(本社:東京都中央区)は2026年10月20日、株式やデリバティブ商品などの取引を担う40以上のシステムを24時間365日体制で集中監視する業務に生成AIを適用したと発表した。これまで熟練者が経験によって選定していたアラート発生時の対処手順をAIが適切に絞り込む。これにより、オペレータの迅速かつ的確な初動対応を支援する。運用監視には「JP1 Cloud Service 生成AIアシスタント」(日立製作所が提供)を利用する。
日本取引所グループ(JPX)は、日本の金融市場を支える社会インフラとして、株式やデリバティブ商品などの取引や刻々と変化する相場情報を取り扱うシステムを運営している。これらは投資家や金融機関の日々の取引における基盤であり、安定稼働は金融市場の公平性・信頼性の維持に欠かせない。
障害発生時には、影響範囲や対処方針を迅速かつ的確に判断する必要がある。判断には、長年にわたって蓄積した運用ノウハウや専門知識が重要な役割を果たしている。一方、近年ではIT人材が不足しており、熟練者のノウハウ継承や運用品質の維持、持続可能な運営体制の構築が課題だった。
図1:日本取引所グループが導入した、システム運用監視のアラート対応に生成AIを適用する仕組みの概要(出典:日本取引所グループ、日立製作所)拡大画像表示
今回、運用監視業務に生成AIを適用した(図1)。これまで熟練者が経験によって選定していたアラート発生時の対処手順をAIが適切に絞り込み、オペレータによるアラート対応の初動を迅速化する。この機能を備えた運用監視ツール「JP1 Cloud Service 生成AIアシスタント」(日立製作所が提供)を利用する。
導入前に実施したPoCでは、AIの回答に判断の根拠を提示する機能や、AIが誤りやすい項目のプロンプトを補助する機能、アラート発生時の対処手順の絞り込み精度を高める機能などの実装とチューニングを継続的に実施した。さらに、成果をJP1の製品機能へ反映することで改善を重ねた。
対処手順の絞り込みには、JPXが対象システムで蓄積してきた1万件以上のインシデント事例と対処手順を活用している。AIによるハルシネーションを抑制するとともに回答品質を向上させ、アラート発生を想定した約1600件のテストケースで、97%以上の割合で正しい対処手順の候補を絞り込めた。
JPXは、システム運用監視業務へのAIの適用範囲を順次拡大し、現在は人が担っている障害時の初動切り分けや後続の対処業務をAIエージェントに代行させるなど、人とAIが協働する運用モデルを目指す。
- 業務システム 2027年4月強制適用へ待ったなし、施行迫る「新リース会計基準」対応の勘所【IT Leaders特別編集版】
- 生成AI/AIエージェント 成否のカギは「データ基盤」に─生成AI時代のデータマネジメント【IT Leaders特別編集号】
- フィジカルAI AI/ロボット─Society 5.0に向けた社会実装が広がる【DIGITAL X/IT Leaders特別編集号】
- メールセキュリティ 導入のみならず運用時の“ポリシー上げ”が肝心[DMARC導入&運用の極意]【IT Leaders特別編集号】
- ゼロトラスト戦略 ランサムウェア、AI詐欺…最新脅威に抗するデジタル免疫力を![前提のゼロトラスト、不断のサイバーハイジーン]【IT Leaders特別編集号】
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
AIの真価は「今この瞬間」の感知にある。「Data Streaming Platform」で実現する「AI Ready Data」を解説
-
-
-
VDIの導入コストを抑制! コストコンシャスなエンタープライズクラスの仮想デスクトップ「Parallels RAS」とは
-
AI時代の“基幹インフラ”へ──NEC・NOT A HOTEL・DeNAが語るZoomを核にしたコミュニケーション変革とAI活用法
-
加速するZoomの進化、エージェント型AIでコミュニケーションの全領域を変革─「Zoom主催リアルイベント Zoomtopia On the Road Japan」レポート
-
14年ぶりに到来したチャンスをどう活かす?企業価値向上とセキュリティ強化・運用効率化をもたらす自社だけの“ドメイン”とは
-
-



