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[データマネジメント2026]

AIの価値を維持し続ける「データ継続供給の型」と「横断組織」

2026年4月28日(火)

世の時流に乗って生成AIを導入し、PoCにも成功した。それにも関わらず全社展開で立ち止まってしまう――。背景にあるのは、業務現場が信頼できる「使えるデータ」を継続的に供給する仕組みが整備できていない問題だ。新商品の追加や組織改編といった環境変化が起こるたびに、AIにデータを供給するパイプラインが追随できず、「作って終わり」になってしまうのだ。2026年3月11日に開催された「データマネジメント2026」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)のセッションに、Ridgelinezの岡本裕史氏が登壇し、この課題を解決して、AI活用を軌道に乗せるための方法を解説した。
提供:Ridgelinez株式会社

AI活用をいかに軌道に乗せられるか

 冒頭に紹介されたBOXILの「生成AIの利用実態調査(2026年1月)」によると、AIを活用している企業はすでに全体の40%に達しており、従業員1万人以上の大企業では52.3%が公式に導入済みである。特にIT・金融領域では、2社に1社が何らかの形でAIを業務に組み込んでいるという。AIは「使って当たり前」の時代に突入したと言える(図1)。

図1:AIは「使って当たり前」の時代に突入図1:AIは「使って当たり前」の時代に突入
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 だが、その裏側の実態はどうだろうか。PoCで成果を出したにもかかわらず、全社展開の段階で失速するパターンが依然として散見される。PoCは限られたデータや業務範囲が前提となっているが、その範囲を広げた途端に「使えない」という声が上がり始めるのだ。その主たる原因は「拡大するデータ整備に対応しきれない」ことにある。

 Ridgelinezの岡本裕史氏は、こうした状況を捉えつつ、「AI活用における競争の軸は『導入できたか』ではなく、『軌道に乗せられるか』にシフトしています」と説く。

Ridgelinez株式会社 Architecture & Integration Practice Director 岡本裕史氏Ridgelinez株式会社 Director 岡本裕史氏

 これまでのAI活用は、デモの精度やPoCの成果をもとに評価され、個別のユースケースごとに、担当者の工夫と努力によって推進されてきた。今後はSLO(サービスレベル目標)と業務KPIで評価し、全社に向けた継続供給に努め、組織的な役割と指標に基づいて運用していく必要がある。「いかに使い続けて価値を維持・拡大できるか」が問われているのだ。

 ならば、どうすればAI活用を軌道に乗せることができるだろうか。岡本氏はAIの価値を保ち続けるための条件として、次の3要素を挙げる。

  • データの量(十分な件数と多様性)
  • データの質(ラベル精度・欠損管理)
  • データの新規性(最新更新・変更反映)

 特に課題となるのが3つ目の「データの新規性」だ。「ビジネスを取り巻く環境変化に追随し、新たなニーズに応えるためには、常に必要なデータを用意し、継続的に供給していくことが不可欠です」と岡本氏は強調する(図2)。

図2:AIの活用を軌道に乗せるためには、供給するデータの「量×質×新規性」を継続的に維持してAIの価値を保ち続ける図2:AIの活用を軌道に乗せるためには、供給するデータの「量×質×新規性」を継続的に維持してAIの価値を保ち続ける
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AIの価値が損なわれていくメカニズム

 裏を返せば、AIの価値を保ち続けることは非常に難しい。AIを初期導入した直後は高い価値を持っているが、時間とともにその価値が損なわれていく構造的なメカニズムが内在しているのだ。

 「例えば、新商品の追加や商品カテゴリの再編といった変化が起こるたびに、AIへのデータ供給パイプラインが追随できなくなります。業務システム側は改修されても、AIは古い定義のままのデータを参照し続けてしまうのです。さらに、新規事業のコード体系と不整合が生じる、組織再編に伴いデータのオーナーシップが変わり、アクセス権の再設定が滞るといった理由から、AIの推論精度が急低下していきます(図3)」(岡本氏)

図3:データ継続供給の役割り空白により起こるAIの価値が損失するメカニズム図3:データ継続供給の役割の空白により起こるAIの価値が損なわれるメカニズム
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 加えて留意しなければならないのは、特に生成AIはどんな状況でも何らかのアウトプットを返すため、推論精度の低下に、現場がすぐには気づけないことである。

 AIの回答に誤りや欠損が次第に増えていき、現場の不信感が高まり、利用が減っていく──。岡本氏が「価値が下がり続ける負のループ」として警鐘を鳴らすこの問題の本質は、DX推進部門とIT部門のどちらも担えていない「責任の空白地帯」にある。

 「DX推進部門はAI活用の目的やビジネス効果に強く傾倒しており、一方でIT部門はパイプラインの構築・安定稼働に意識を向けています。その間で抜け落ちているのが、ビジネスの変化をデータ仕様に翻訳する役割を担い、AIへのデータ供給パイプラインを維持・更新する責任主体です」(岡本氏)

 そして、この空白地帯を埋める解決策として岡本氏が提示するのが、「変化に追随してデータを提供し続ける『継続供給の型』を組織に埋め込む」という考え方だ(図4)。

図4:解決の鍵は、変化に追随しデータを提供し続ける「継続供給の型」を組織に埋め込むことである図4:解決の鍵は、変化に追随しデータを提供し続ける「継続供給の型」を組織に埋め込むことである
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具体的には次の3原則に基づいて、価値を維持する体制と横断組織を設計する(図5)。

図5:原則を設計する際に意識すべきポイントは3つ図5:原則を設計する際に意識すべきポイントは3つ
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 第1の原則は、「KPI×データ」に基づく投資判断の可視化である。「データ整備作業は直接ビジネス利益に貢献しないため、多くの企業で投資承認が下りにくいのが実情です。だからこそ、データ整備を行った結果として、事業KPIがどう変動したのかを定量的に示し続けることが不可欠です」(岡本氏)

 第2の原則は、最小のデータ基盤から始めて不足分はオンデマンドで拡張すること。「いきなり全データを完璧に整備しようとせず、今必要な範囲から始め、変化が起きたら最小限のデータを短期間で追加していきます。欲張らないことが大事です」(岡本氏)

 第3の原則は、ガバナンスを日常運用に組み込むこと。「特定のプロジェクトとして盛り上がった時だけガバナンスを行うのではなく、ワークフローとして定義することで属人性を排除し、『誰がやっても同じ結果になる枠組み』が求められます」(岡本氏)

成長を止めないための4段階の成熟度モデル

 ただし、原則を定めるだけでは不十分だ。それを「誰がやるか」を設計する必要があるとして、岡本氏は次の4段階からなる「データ継続供給の成熟度モデル」を示した(図6)。

図6:原則に則り段階的に実行する体制・組織は4段階で考える図6:原則に則り、段階的に実行する体制・組織は4段階で考える
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 レベル1は、限定的なデータ供給(プロジェクト型)だ(図7)。目的ごとに個別対応し、必要ならゼロから構築する。再現性よりも「まずやり切る」ことを最低ラインとする。「小さく始めてKPIと最小の更新・品質を決め、同じ手順で繰り返せる型にします」(岡本氏)

図7:レベル1 限定的なデータ供給図7:レベル1 限定的なデータ供給
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 レベル2は、標準化されたデータ供給(ワーキンググループ型)だ(図8)。複数プロジェクトを俯瞰し、データモデルの整合などを共通化することで、部門間の合意形成が生まれ始める。「重要度を合意し、権限付与・品質確認・拡張手順を定めて変更に対応します」(岡本氏)

図8:レベル2 標準化されたデータ供給図8:レベル2 標準化されたデータ供給
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 レベル3は、データ供給の運用定着(専任組織)だ(図9)。部門配下に役割を持った組織を置き、主要領域のデータ提供を担う。「定期的な改善を行い、品質指標と復旧時間に基づいて現在の仕組みを継続評価します」(岡本氏)

図9:レベル3 データ供給の運用が定着図9:レベル3 データ供給の運用が定着
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 レベル4は、社内ニーズに適応したデータ供給(CDO/CAO直下のDMO)だ(図10)。外部環境の変化を積極的にキャッチアップし、全社データ戦略を立ててデータ供給をドライブする。AIの価値が途切れず継続する状態を目指す。「予算をKPIと連動させ、全社SLAで成果を管理することで、信頼を仕組みとして維持します。特にAIエージェントが自律的に答えを導き出す時代を迎えるにあたり、DMOが全社のデータを把握していることが、その正確性の担保となります」(岡本氏)

図10:レベル4 社内ニーズに適応したデータ供給図10:レベル4 社内ニーズに適応したデータ供給
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 AIを使い続けて価値を伸ばすためには、小さく素早く始め、変化に追随できるデータ継続供給の役割と組織を整える必要がある。「KPI×データ」「最小基盤」「日常ガバナンス」の3つの成熟度を段階的に引き上げながら、AIを組織のプロセスとして埋め込んでいくことが重要だ。


●お問い合わせ先

Ridgelinez株式会社

https://www.ridgelinez.com/
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