[インタビュー]
データの“保管庫”から“統合インフラ”へ─Synologyが仕掛けるB2Bビジネスの全貌
2026年6月10日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)
NASのマーケットリーダーとして、世界120以上の国・地域で累計1400万件の導入実績を誇るSynology(シノロジー)。近年の同社は、B2B領域およびエンタープライズ市場に向けた事業を拡大している。2026年6月2日~5日に台湾・台北市で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2026」への出展に伴い、Synology インターナショナルビジネス部門 ディレクター兼Synology Japan 社長のジョアン・ウェン氏と、Synology Japan 営業・マーケティング統括部門長のライ・エイレイ氏がインタビューに応じてくれた。語られた内容から、SynologyのB2B領域における事業展開と、日本市場での戦略を紐解く。
NAS専業からデータインフラ企業へ
2000年に台湾で設立したSynology(シノロジー)は、コンシューマーやSOHO/SMB向けのNAS(Network Attached Storage)製品に特化したベンダーとして、市場・業界を牽引してきた。
ハードウェアのイメージが強い同社だが、独自のソフトウェア開発も並行して進めてきた。従来の「(主にコンシューマーに向けた)NAS専業の会社」というイメージを覆すべく、中小から中堅、エンタープライズまで、法人向けのソリューション展開に注力してきた(図1)。実際、現在のグローバルでの売上比率は、B2Bが6割、B2Cが4割と、企業における存在感の高まりが数字に表れている。
図1:Synologyの沿革(出典:Synology)拡大画像表示
シノロジーが描くB2Bビジネスは、単なるデータの保管庫としてのNASの提供にとどまらない。現在の製品ポートフォリオは、「ストレージとデータ管理」「データ保護」「生産性」「映像監視」「クラウド」といった、企業のデータインフラを全方位で支える包括的なソリューション群へと進化を遂げている。2026年6月2日~5日に台湾・台北市で開催されたアジア最大級のコンピュータ見本市「COMPUTEX TAIPEI 2026」では、そうした方針に基づく新製品・新機能を披露した(図2、写真1)。
図2:B2Bビジネスにおける事業領域(出典:Synology)拡大画像表示
写真1:COMPUTEX TAIPEI 2026のSynologyブース拡大画像表示
Synology インターナショナルビジネス部門 ディレクター兼Synology Japan 社長のジョアン・ウェン(Joanne Weng、写真2)は、B2B領域の既存ベンダーが持つ技術やビジネスは非常に強力としつつも、そういったプレーヤーたちと肩を並べて競争していけるとの自信を覗かせた。根拠に、これまでソリューション指向で積み重ねてきた歴史があるという。
「当社は製品開発に対して多大な投資を行っており、台湾本社の全従業員は約60%がソフトウェアエンジニアです。これは私たちが顧客に最高かつトップクラスの製品をお届けするために真剣に取り組んでいる証拠であり、エンタープライズ市場においてトップティアのベンダーを献身的に目指していく姿勢のサインだと考えています」
写真1:Synology インターナショナルビジネス部門 ディレクター兼Synology Japan 社長 ジョアン・ウェン氏Synologyのビジネスの根底にあるのが、データをパブリッククラウドに依存せず、自社で完全にコントロールする「データ主権」の思想だ。現在、多くの日本企業がクラウドサービス(SaaS)の円安に伴うコスト上昇や価格改定、さらにはデータ流出リスクに頭を悩ませている。
これに対し、オンプレミスでのデータ保護ソリューション、データ量に合わせて柔軟にスケールアップ/スケールアウトできるインフラストレージに加え、オンプレミスで完結するファイル管理、共同編集ドキュメント、メール、スケジュール管理などの生産性ツール群「Synology Office Suite」を提供する。さらに、映像監視では「Synology カメラ」を筆頭に、AIによるビデオ解析を駆使したエンドツーエンド監視ソリューションにより、物理的な資産の安全も確実に保護するとアピールする。
「私たちのソリューションは、政府機関やヘルスケアなど、データの機密性やセキュリティ、プライバシーを極めて厳格に求める顧客に深く刺さっています。あらゆるデータをクラウドへ移行させる流れの中で、データを手元で安全に管理したい顧客にとって、Synologyは最適な選択肢と言えます」とウェン氏は自社の優位性を強調した。
●Next:信頼性と徹底したローカライズで、日本のインフラを強固に支える
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