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[データマネジメント2026]

物理統合の限界を仮想化で突破。CASE時代の飛躍に向けたスズキの挑戦

データのサイロ化の解消とデジタル人材の育成にスズキはどう挑んだのか

2026年4月10日(金)

自動車業界は現在、CASE(コネクテッド/自動運転/シェアリング/電動化)の進展を中心とした大きな変革期にあり、各社は生き残りを賭けた施策をさまざまに展開している。スズキが注力しているのが、仮想データ統合によるデータ基盤の整備を通じたデータ活用だ。2026年3月11日に開催された「データマネジメント2026」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)に、スズキ株式会社の佐藤文香氏と菅沼教多氏が登壇し、スズキのデータ基盤整備のこれまでと仮想データ基盤の選択理由、さらに「市民開発」を軸とした組織風土の変革など、同社が歩んだデータ基盤整備の軌跡と将来展望を解説した。
提供:Denodo Technologies株式会社

 「自動車業界は今、100年に一度の大変革期に直面しています。技術やお客様の価値観が刻々と変わるなか、企業としてのアジリティが求められています。できなければ取り残される。そんな危機感を抱えながら、全社データ基盤の整備に着手しました」(佐藤氏)

スズキ株式会社 IT本部 ITシステム部 開発基盤・モデリング課 佐藤文香氏スズキ株式会社 IT本部 ITシステム部 開発基盤・モデリング課 佐藤文香氏

データ基盤整備に立ちはだかる壁

 スズキでは時代の要望ごとの継続的なシステム整備・拡充の結果として、データのサイロ化という問題を抱えていた。システム数はIT部門が管理しているものだけでも300以上に登り、メインフレームからSaaSまで形態も多岐に渡る。部門ごとの縦割りの仕様から、データも個別に最適化せざるを得なかった。

 「標準マスタも存在しない状況では、データを集めるだけでも大変です。それを業務に使える状態にする作業もバラバラで属人化し、同一情報を複数システムに入力する多重管理があちこちで見受けられました。IT部門にはデータ提供の要望が多数寄せられ、その対応で時間を大きく取られる状況にありました」(佐藤氏)

 データ基盤の整備に向け、まず取り組んだのがETLにより個々のDBを統合する物理的なデータ統合だ。しかし、作業はスムーズに進まない(図1)。

スズキにおけるデータ基盤統合の履歴図1:スズキにおけるデータ基盤統合の履歴
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 「データ活用で現場作業が効率化するとメリットを訴えても、総論賛成、各論反対の状況で支持を得るまでには至りませんでした。データ統合は組織文化の変革を要す大変な作業だと実感しました」(佐藤氏)

物理統合から仮想統合への方向転換

 状況の打開に向け、新たなやり方を模索する中で着目したのが、Denodo Technologiesのデータ仮想化プラットフォーム「Denodo Platform」だ。Denodo Platformは、DBやファイルなど各種のデータソースを、生データのまま仮想化して統合する仕組みを持つ。データの前処理が不要なため、物理的なデータ移動を伴うETL作業を一掃でき、リードタイムも短縮できる。統合対象の選択などの作業はノーコードで実施できる。

 「Denodoを採用する決め手になったのは、業務部門が自らデータを探し、取得できるデータカタログ機能が備わっていたことです。この仕組みは、サイロ化に苦しむ私たちの状況に非常にフィットしました」(佐藤氏)

 スズキではデータ基盤の整備手法を、データの物理統合からDenodo Platformによる仮想統合に切り替えることを決断。仮想データ統合を進めながら、業務部門へのデータを供給し、データカタログを充実させていくという方向で、2023年4月にデータカタログを全社に公開した(図2)。
 

現在のスズキのデータアーキテクチャ概要図図2:スズキのデータアーキテクチャ概要図
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データ活用に向け、データを使う人を増やす

 データカタログの公開後、社内HPやメールでグローバルDBや国内の部品物流関連のデータなどを相次ぎ公開し、データの現場利用を後押しする施策を矢継ぎ早に展開した。しかし期待とは裏腹に、約1年を経てもデータ利用の機運は盛り上がりに欠けるものだった。

 「一番の原因は、データオーナーが総じてデータの公開に後ろ向きだったこと。製造業は設計データなどの機密情報が多く、オーナーはそれらの外部漏洩を警戒しています。リスク管理の点で公開できるデータが極めて限られたことで、カタログをリリースしても、使う気が起きないのは当然でした」(佐藤氏)

 そこで次に着手したのが、データを活用する人材を育成するための「市民開発」の推進だ。「データを増やしてからデータを使う人を増やす」のではなく、「データを使う人を増やしてデータを厚くする」方針へと転換した。データを活用する人が増えれば、より多様なデータへの期待と需要が大きくなる。市民開発が広がれば、同一データからの成果のアウトプットも増え、使えるデータが増えれば成果もさらに増す。全社のデータ活用を最大化できると考えた。

 IT部門が業務部門のデータ活用の取り組みに伴走し、BIツールやローコード開発ツールを用いた業務改善に取り組んだ。社内でナレッジをシェアする仕組みを作り、コミュニティを複数立ち上げ、横のつながりを作ったり、各部門で積極的に取り組んでいるメンバーをエバンジェリストとして支援したりした。月1回、開発サポート会も開催し、自分たちで改善に挑戦する文化が少しずつ根付いていった。

 2025年には社内で開発事例展示会を開催した。ITだけでなく営業や調達・設計などさまざまな部門から18の開発事例を展示し、自分たちで作成したアプリを紹介し、来場者に触れてもらった。約1,800名と全社員の10%強が参加し、大いに盛り上がった。

トップからの後押しがDX化の追い風に

 IT部門によるボトムアップの動きだけでなく、トップからの後押しもあった。始まりは2022年6月の「役員・本部長が業界トップのデジタルチームになる」という経営層自らの行動変革宣言だった。

 「2022年8月には役員・本部長向けのデジタル研修を開始し、2023年3月には内製の生成AIアプリを業界でいち早く導入しました。ローコード開発ツールやBIツールの役員研修も始まり、トップダウンでローコードによる市民開発が一気に広がりました」(菅沼氏)

スズキ株式会社 IT本部 ITシステム部 開発基盤・モデリング課 主幹 菅沼教多氏スズキ株式会社 IT本部 ITシステム部 開発基盤・モデリング課 主幹 菅沼教多氏

 市民開発プロジェクトは右肩上がりに増加している。その数は2023年4月〜6月には10件以下だったが、2025年10月〜12月には80件に届こうとする勢いだ(図3)。

市民開発プロジェクト数の推移図3:市民開発プロジェクト数の推移
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 全社的なデジタル人材化も進み、現在、社員の7割以上が業務で生成AIを利用しており、「AIに触れることは当たり前」という文化が全社的に根づいている。

 現在は生成AIと社内データを組み合わせたチャットボットの作成を進めており、そのためにもDenodo Platformを活用し、AIが扱いやすいAI Readyなデータ整備に取り組む。業務部門が社内のデータを自然言語で扱えるようになることで、データ活用の裾野がさらに広がると考えている。

データ活用の裏方として不可欠な存在に

 「データ基盤の整備に端を発するデータ活用人材の育成施策に、経営陣が自らを手本とする、社員のデジタル人材化という変革の取り組みがとてもうまく噛み合いました。最終目標は、データとAIを組み合わせた、顧客にとっての高い価値、新たな価値の創出に向けた『製品・サービスの変革』と、その下支えとなる『組織・風土の変革』です」(菅沼氏)。

 これまではとにかく社内にデータ活用を広めることを優先してきたが、これからは本格的なデータマネジメントに取り組めると考えている(図4)。

スズキにおける今後の取り組み図4:スズキにおける今後の取り組み
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 スズキの新中期経営計画では2030年度のグローバルの売上収支として8兆円が示されている。IT部門が主管する大きな経営資産は、Denodo Platformにより整備された全社データ基盤だ。目標達成に必要とされる年6.9%の成長の達成に向けて何ができるのか、IT部門の手腕が試されることになる。

 物理的なデータの壁を取り払い、心理的なデータ活用の壁をも崩しつつあるスズキ。Denodo Platformという強固な基盤の上で、全社員がデータという共通言語を操り、新たな価値を創造するという挑戦は、今まさに加速している。


●お問い合わせ先

Denodo Technologies株式会社
URL:https://www.denodo.com/ja

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