[市場動向]

PFNとトヨタ未来創生センター、ロボットの推論をAI半導体で高速化する共同研究を開始

2026年6月1日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

Preferred Networks(PFN)は2026年6月1日、生活支援ロボットのAI推論処理をAI半導体「MN-Core Lシリーズ」で高速化する共同研究を、トヨタ自動車の研究組織である未来創生センターと開始したと発表した。ロボット基盤モデルのリアルタイム動作に向け、オンプレミス環境での高速推論の実現を目指す。

 Preferred Networks(PFN)は、生活支援ロボットのAI推論処理をAI半導体「MN-Core Lシリーズ」(写真1)で高速化する共同研究を、トヨタ自動車の研究組織である未来創生センター(トヨタ未来創生センター)と開始した。

写真1:MN-Core Lシリーズの高性能版「MN-Core L1400」(モックアップ)の外観(出典:Preferred Networks)
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 共同研究では、PFNがMN-Core Lシリーズ向けのソフトウェアを提供し、トヨタ未来創生センターが実環境での利用を想定したロボットの推論処理を同シリーズで高速化する。MN-Core Lシリーズの出荷開始予定である2027年以降、実環境でロボットを動かして検証し、研究結果を2027年中に順次公開する。

 トヨタ未来創生センターは、2012年に発表した生活支援ロボット「HSR」を用いて、遠隔操作の実証実験や、各環境で収集した動作データの大規模学習を進めている。複数のタスクに汎用的に対応できるロボット制御モデル「ロボット基盤モデル」の研究にも取り組んでいる。

 ただし、ロボット基盤モデルをリアルタイムで動かすには、オンプレミス環境における高速な推論処理が不可欠である。将来的にはロボット内部にAI半導体を組み込み、エッジで効率よく推論処理を行う構成が求められる。

 PFNのMN-Core Lシリーズは、生成AIの推論処理を高速かつ低消費電力で行えるように設計したAI半導体である。2027年に初期モデルとして省電力版「MN-Core L1100」と高性能版「MN-Core L1400」の提供を始める予定である。

 同シリーズは、推論処理のボトルネックであるメモリー帯域幅を、ロジック半導体にDRAMを垂直積層するアーキテクチャで高める(図1)。現行品「MN-Core 2」比で50倍以上の帯域幅を目標として開発している(関連記事PFN、電力性能が33%向上したAIプロセッサ「MN-Core 2」、2024年度にスパコン「MN-4」を稼働)。

図1:MN-Core Lシリーズのメモリー接続アーキテクチャ。独自のロジック半導体にDRAMを積層し、一面に多数の電極を配置した。高帯域と低消費電力を実現する(出典:Preferred Networks)

 DRAMを採用するため、メモリー容量も確保しやすい。70B(700億)パラメーターの大規模言語モデル(LLM)が推論に必要とするメモリー帯域幅とメモリー容量を、MN-Core L1400のカード1枚でまかなえるとしている。

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