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Agentic AIで現場主導のデータ活用を促進する方法
2026年4月22日(水)
昨今の生成AIブームを経ていま注目を集めているのが「Agentic AI」の概念だ。セゾンテクノロジー データインテグレーションコンサルティング部 Data&AIエバンジェリスト 山本進之介氏は「AIを単なるチャットボットで終わらせず、自律的に動くAgentic AIとしてビジネスの武器にするには、AIが迷わずデータを読み解けるAI Readyな状態を整えることが重要です」と語る。2026年3月11日に開催された「データマネジメント2026」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)で、Agentic AIの活用事例とAI時代のデータ整備について解説した。
提供:株式会社セゾンテクノロジー
ファイル転送ミドルウェア「HULFT」やETL/EAIミドルウェア「DataSpider Servista」、クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」といったデータをつなぐプロダクト・サービスを提供するセゾンテクノロジーだが、近年はデータとAIをつなぐ取り組みを加速させている。
「生成AIが持つ対話能力、RAG(Retrieval-Augmented Generation/検索拡張生成)により拡張された知識と、AIエージェントの自ら考える技術が組み合わさることでAIは今後どうなっていくのか。その1つの姿がAgentic AIです。企業はAgentic AIとうまくつきあっていくことが求められます」(山本氏)
株式会社セゾンテクノロジー データインテグレーションコンサルティング部 Data&AIエバンジェリスト 山本進之介氏山本氏はAgentic AIを「目標達成のために自ら計画・思考・行動し、必要に応じて自己修正するもの」と定義する。生成AIや初期のRAGのように、答えを見つけることでコスト削減や業務効率化を目指すものではなく、収益向上や競争力獲得を目指す。
Agentic AIでデータから示唆を発掘し、それを事業の戦略や実効性のあるアクションにつなぎ、価値の創出を図る。検索から分析へと、AIの役割が変わっているのだ(図1)。
図1:これまでのAI活用とこれからのAI活用拡大画像表示
現場でのデータ活用を促進するAgentic AI
これまで、分析をアクションにつなげていくためのプロセスには、主にBIツールが使われていた。
「BIツールには直感的なデータの可視化や表現、操作性に優れているといった多くのメリットがあります。一方、ダッシュボードやデータマートの開発には膨大なコストがかかるうえ、一部のパワーユーザーしか使わないといったデメリットもありました。可視化は進んだものの、皆が使えるようにするには多くの課題があったのです」(山本氏)
特に問題なのは、分析が属人化し、データ活用までのリードタイムが長いことだ。それを解決できるのがAgentic AIだ。自然言語を扱えれば誰でもデータにアクセスできる。多くの社員が分析に参加してインサイトを即時に共有できる。専門家への依存から現場主導でのデータ活用を実現しやすくなるのだ(図2)。
図2:現場主導のデータ活用がビジネスを加速させる拡大画像表示
Agentic AIの活用事例
Agentic AIは、従来は難しかったさまざまなビジネスシーンに適用できる。山本氏が最初に示したのは、BtoB企業の営業担当者が自分のクライアントが興味を持っているテーマを発見し、提案に生かせる資料を見つける事例だ。具体的には、対話形式でAIエージェントに指示を出し、顧客のセミナーへの参加情報から関心がありそうなテーマを見つける。さらに、AIがファイルサーバーで書類の中身を確認し、テーマに合ったファイルを抽出する。
次の例は、コーヒー店を展開するBtoC企業が、ある店舗の売上が減少した要因を見つける様子だ。ここでは、POS情報などから四半期ごとの売上を検索し、他店舗との比較や過去実績との比較、イベントの実施有無などを確認する。最終的には「お客様の声」から、コーヒーマシンのフィルター交換後の味の変化が原因だと発見していく。注文データからだけではなかなか見えてこない要因を、仮説と検証で見つけ出した事例だ。
データ整備はデータ資産への投資
ではAgentic AIで成果を出すにはどうすればよいのか。山本氏は「AIが優秀なだけではうまくいきません。扱うデータが重要です」と指摘した。
典型的な課題の1つが、チューニングしても一定の段階で精度が上がらなくなる「RAGの沼」だ。データ品質、検索の精度不足、生成と評価の難しさなど複数の要因があるが、解決するためにはエンジニアリング的なアプローチが不可欠となる(図3)。
図3:RAGの仕組みと「RAGの沼」拡大画像表示
生成AI(RAG)が高精度で機能するためには、下記のような事前処理が不可欠だ。
- 情報の構造化(タグ付けなど)
- PDFやスキャン画像のテキスト化
- 図表のテキスト変換、説明文の追加(マルチモーダルLLMを活用)
- 不要なノイズ(ヘッダー、フッター、ページ番号など)の除去
- マスターの整備
「高精度なAIは高品質なデータがあってこそ実現します。AIがデータを正しく理解するためには、AIが読める状態に変換する『構造化』、ノイズを取り除く『クレンジング』、意味と文脈を与える『メタデータ付与』が重要です。データ活用の工数の8割はデータの整備であり、データ整備はAI時代のデータ資産への投資なのです」(山本氏)
「AI Ready」なデータにするための手法
実際のデータ整備では、いくつかの手法を組み合わせて実施する。例えば、ドキュメント構造化の手法を用いて、情報の構造を明確にし、セマンティック検索で精度を向上させる。その際のシステム実装では、マルチモーダル生成AIによるテキスト抽出やマークダウン変換、ベクトルデータベースとの連携などを行う。
また、非構造化データについては、必要に応じて想定される質問と回答のペアを作成するFAQ化を行ったり、顧客の声からAIを使ってテキストを抽出してカテゴリー分けしたり、ネガティブかポジティブかなどの感情を整理したりする(図4)。
図4:非構造化データの構造化の例拡大画像表示
大規模なドキュメント検索では、すべてをベクトル検索などで実装しようとすると、低速化や精度不良、高コストを招くため、SQL検索、テキスト検索、ベクトル検索などの複数の検索方式を組み合わせて実現していく。
メタデータについては、AIが正しくデータを理解できるよう、適切に定義していく。その際にポイントとなる項目は「誰のデータか(主管部門・更新者)」「何のデータか(用語・コード体系)」「いつのデータか(作成日・更新日)」「どこのデータか(配置場所・URL)」「何のためのデータか(業務・収集目的)」「どのようなデータか(導出方法・算定式)」などだ。
AI導入とデータ整備を支援するセゾンテクノロジーのソリューション
セゾンテクノロジーでは、こうしたAI導入とデータ整備の取り組みを支援する各種AIソリューションを提供している。自然言語でデータから示唆をクイックに発掘する「データ分析チャットボット」や、「HULFT Square」のテンプレートを使ったクイックな前処理、FAQ作成、スキャンPDFからのテキスト抽出などの機能を提供する(図5)。
図5:データ連携プラットフォーム「HULFT Square」拡大画像表示
「HULFT Square」でFAQ化などを実施した結果、30%〜50%程度だった回答精度が90%まで向上した事例もあるという。
「価値創造に向けたインサイトの源泉は社内の業務データにあります。AIの精度を高めるためにもデータの整備が重要です。セゾンテクノロジーでは、横断的な業務データのAI活用やAIのためのデータ整備を支援します」(山本氏)

●お問い合わせ先
株式会社セゾンテクノロジー
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