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[IT Leaders Tech Strategy LIVE AIエージェントの戦力化はIT部門の仕事 自社特化の生成AI活用基盤を築く]

生成AI時代に求められるオンプレミス基盤─電力急増と機密性への対応策

2025年12月9日(火)

生成AI活用において注目されるのが、オンプレミス基盤の構築。生成AI処理には膨大な電力が必要で、現行インフラでは対応困難と見られている。シュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 事業開発本部 ビジネス ディベロップメント プロフェッショナルの菊池直樹氏が、2025年11月12日に開催された「IT Leaders Tech Strategy LIVE AIエージェントの戦力化はIT部門の仕事 自社特化の生成AI活用基盤を築く」(主催:インプレスIT Leaders)に登壇し、生成AI時代の在るべきインフラ像について解説した。
提供:シュナイダーエレクトリック株式会社

生成AIのオンプレミス活用がIT管理者の新たな課題に

 生成AI利用の急速な立ち上がりを受け、データセンター(DC)の消費電力増を課題視する指摘が、各種報道でも珍しくなくなった。電力業界団体の調査によると、2029年度のDC向け最大電力需要は343万kWと、2025年比で7倍以上の増加が予測されている。

 DC事業者だけでなく、ユーザー企業にとっても、この問題は無視できないものになりつつある。「背景には、企業における生成AI活用要件を満たすために、処理場所をオンプレミスに回帰する動きがあります」と指摘するのは、シュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 事業開発本部 ビジネス ディベロップメント プロフェッショナルの菊池直樹氏である。

シュナイダーエレクトリック セキュリティパワー事業部 事業開発本部 Business Development Professional 菊池直樹氏シュナイダーエレクトリック セキュアパワー事業部 事業開発本部 ビジネス ディベロップメント プロフェッショナル 菊池直樹氏

 生成AI処理は、大量データを基にAIモデルを開発する「学習」と、開発後のAIモデルで回答を出力する「推論」に大別される。両作業での消費電力量の単純比較は難しいが、推論はユーザーが増えるほどノードは増加する。利用が急拡大する中、今後の電力消費の急増に疑念を挟む向きはないだろう。

 生成AI利用に企業が求める要件も問題として大きい。回答の迅速性だけでなく、企業が求める高品質な回答を実現するためには、社内に蓄積された数値や文章などのデータをRAG(検索拡張生成)などの技術を用いて活用することが不可欠である。ところが、回答精度を向上させるための関連データは総じて機密性が高く、クラウドサービスなどへの外部移動に企業は消極的であり、回答の迅速さと機密性の要件を満たすには、データと物理的に近く、社内に閉じた環境でハードを占有利用できる方が望ましい。

ITインフラの変化で目指すべき「最適解」

 これらの事情から、「生成AIのオンプレミス運用が進むことは確実でしょう」と菊池氏は予測する。現状、大規模DCに対しては新設時でのPUE(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)規制が努力義務として求められているが、今後はCO2排出量の削減に見られるように、サステナビリティ(社会・環境・経済を持続可能にする企業活動の考え方)面での配慮が多様な産業に求められることは間違いない。その対応の意味でも、電力効率の最適化は、産業を問わず大切な事前準備になると菊池氏は強調する。

 課題はいくつもあるという。まず挙げられるのが、推論サーバーの増加や高性能化に起因する、格納サーバーの総重量、消費電力量、および放熱量の増加である。それに端を発した、サーバーをはじめとするITリソースを物理的に格納するラック、さらに電源側の対応も課題となる。業務基盤のシステム停止時には、企業が甚大な被害を受けることは避けられず、その点で、「地震や台風に見舞われることの多い日本では、自然災害リスクに対する入念な準備も必要となります」と菊池氏は説明する。

 その「最適解」として菊池氏は、ラックや電源、冷却などの構成要素別に、同社の製品を交えつつ次のように提案する。

ラック

 サーバー増と、サーバー自体の容量・質量の増加に伴う重量増への対応に向け、何より耐久性に優れた製品の採用を推奨する。一例として菊池氏が紹介したのが、同社の「NetShelter SX Seismic Rack Enclosure」である(図1)。

図1:筐体1つあたりに格納するサーバーの重量増に対応するため、より大型かつ高い耐震性を備えたラックの採用を推奨する図1:筐体1つあたりに格納するサーバーの重量増に対応するため、より大型かつ高い耐震性を備えたラックの採用を推奨する
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 NetShelter SX Seismic Rack Enclosureは大型サーバーの収容に対応するために、高さで42Uと45U、奥行きで1070mmと1200mm、幅で600mm、700mm、800mmのバージョンを用意し、同社の現行製品より容量を拡大させつつ耐震性も高めたモデルだ。耐震荷重は1000kg(加速度1108gal時)。既存ラック向けに提供されているアクセサリーの多くも利用可能だ。

電源効率の最適化と冷却技術液冷への脱却と求められる選定眼

 生成AIによるラック全体の消費電力の増加に伴い、電源から電力を分配するPDUと、個々のデバイス向けに電力を変換・供給するPSUにおいて、既存のPDUではPSUで提供する電力を供給しきれない問題などが生じている。

 「対応に向け、定格電力出力とブレーカー容量が大きなPDUの選択が必須です」(菊池氏)

 同社のPDU「NetShelter Rack PDU Advanced 11000 Series」は、72kWの最大出力容量でAI向けGPUサーバーに対応する(図2)。消費電力の増加を踏まえ、今後もラインナップを順次拡充させる計画である。

図2:NetShelter Rack PDU Advanced 11000 Series。最大出力容量は72kWを誇り、AI向けGPUサーバーに対応する。既存の0Uタイプではラックスペースが十分取れないケースに対しては、ラックマウントが可能なホリゾンタルモデルPDUをラインナップに加え、より広範なニーズに対応する図2:NetShelter Rack PDU Advanced 11000 Series。最大出力容量は72kWを誇り、AI向けGPUサーバーに対応する。既存の0Uタイプではラックスペースが十分取れないケースに対しては、ラックマウントが可能なホリゾンタルモデルPDUをラインナップに加え、より広範なニーズに対応する
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 災害対策のための、電源喪失時でのバックアップ電源の確保も不可欠である。菊池氏が推奨するのが、従来の鉛バッテリーと比べて省スペースかつ軽量化が図られているリチウムイオンバッテリーを採用したUPS(無停電電源装置)の採用である。同社ではラック組み込み型で、複数のリチウムイオンバッテリーユニットによる冗長化構成を採るUPS「Smart UPS Ultra/Modular Ultra」シリーズを用意する(図3)。バッテリーは消耗品だが、順を追った交換により無停電でユニットをリプレイス可能であり、平常時での運用業務も支援する。UPS自体の並列化による冗長化策も提案している。

図3:Smart UPSシリーズの冗長化構成。複数のバッテリーユニットで構成され、システム無停止でのバッテリー交換(リプレイス)が可能だ図3:Smart UPSシリーズの冗長化構成。複数のバッテリーユニットで構成され、システム無停止でのバッテリー交換(リプレイス)が可能だ
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冷却

 冷却は従来、空冷が主力であったが、より冷却効率の高い液体冷却をはじめとする各種手法が登場しており、それらを積極的に検討すべきだという。シュナイダーでは、サーバー内のチップを直接冷却するコールドプレートや、空間での液体の流れを最適化する冷却液分配ユニット、マシンルームと外部を接続し、効率的に液体の温度を下げる循環装置などの製品を広範に提供しているという(図4)。

図4:シュナイダーでは液体冷却によるサーバーの冷却から、DC全体の冷却のための製品まで広範に冷却ソリューションを提供する図4:シュナイダーでは液体冷却によるサーバーの冷却から、DC全体の冷却のための製品まで広範に冷却ソリューションを提供する
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独自の研究結果が裏付けるサステナビリティと安定稼働の両立支援

 上記のようにラック当たりの処理能力が増加すると、万が一故障した際の影響も以前とは比べものにならないほど増加する。シュナイダーでは、温度や漏水検知などのさまざまなセンサーを活用して稼働環境を監視し、安定稼働やいち早い障害対応を支援するための仕組みも提供している(図5)。オンプレミスで稼働し、監視画面による情報をIT管理者に提供する「Data Center Expert」や、クラウド上でゲートウェイを介してデータを収集する「IT Expert」などから構成される。

図5:Data Center Expertは各種センサーと連携し、サーバールームの異常を早期検出する。各種事故へのいち早い対応を支援する図5:Data Center Expertは各種センサーと連携し、サーバールームの異常を早期検出する。各種事故へのいち早い対応を支援する
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 Data Center ExpertはPUEのほか、サステナビリティ関連データのレポート出力にも対応しているという。「ビジネスにおいて、サステナビリティを意識した運用を支援します」と菊池氏は訴える。

 総括として、「AIサーバー需要増に備えたオンプレミス運用の再検証は急務です」と語ったうえで、菊池氏は次のように締めくくった。

 「シュナイダーでは独自運営する研究施設での、サステナビリティも含めたDC運用に関する調査結果をいくつも公表しています。規模別のDCの参考デザインもそこに含まれます。その蓄積こそが我々の強みにほかならず、何か疑問があればぜひ我々にぶつけてください」(菊池氏)


●お問い合わせ先

シュナイダーエレクトリック株式会社

URL:https://www.se.com/jp/ja/work/solutions/data-centers-and-networks/
 

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Schneider Electric / 生成AI / ITインフラ / オンプレミス / UPS / BCP/DR

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