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出光興産、プラント定期保守システムをアジャイル/オフショア開発、3年間で26万3000時間を削減

他事業所への展開で業務の標準化を図る

2026年1月23日(金)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

出光興産(本社:東京都千代田区)は、製油所や工場におけるプラントの定期保守システム「SDM(Smart Digital Maintenance)くん」をアジャイル開発で構築し、安定運用を続けている。検査報告書のデジタル化からスタートし、2020年に千葉事業所でプロトタイプをリリース後、オフショア開発も活用しながら機能追加や他事業所への展開を進めている。現在、全国4事業所の7000人超がシステムを利用しており、3年間で26万3000時間の削減効果を算出している。開発を支援するシステムエグゼが2026年1月22日に発表した。

 出光興産は、燃料油や基礎化学品、高機能材などを扱うエネルギー企業である。同社の千葉事業所(千葉県市原市、写真1)は、1963年に操業開始、15万坪の敷地を有し、グループ全体の約20%の石油製品を生産する基幹事業所だ。敷地内には多数の装置やパイプラインがあり、それらの安全稼働を維持するための定期保守業務は非常に重要となる。

写真1:千葉県市原市の出光興産千葉事業所。15万坪の敷地を有し、グループ全体の約20%の石油製品を生産する(出典:出光興産)

 一方、定期保守作業は現場の負担が大きかった。以前、検査・補修・運転といった部門間の調整や報告は、主に紙の書類や口頭で行われていた。千葉事業所だけでも補修件数は数百件に及び、業務負担が大きいだけでなく、伝達ミスによる補修漏れのリスクも抱えていた。「補修対応に一度でも漏れがあれば、装置の稼働を止める必要が出るなど、大きな損失につながりかねない」(同社)。また、事業所ごとに管理手法が異なり、業務フローが標準化されていないことも課題だったという。

 こうした課題を解決するため、出光興産は2020年、本社にデジタル変革室(現 デジタル・ICT推進部)を設置し、現場主導でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を開始。その一環として、定期保守業務の効率化を目指すプロジェクト「SDM(Smart Digital Maintenance)くん」を立ち上げた。システム構築のパートナーにはシステムエグゼを選定した。

 開発手法には、システム要件の変化に柔軟に対応できるアジャイル開発を採用した。当時はアジャイル開発の経験が豊富なメンバーが少なかったこともあり、開発手法を勉強しながら2週間ごとにリリースしていた。ウォーターフォール型の開発に慣れていたこともあり、仕様変更が当たり前のように起こるアジャイル開発の感覚をつかむまで、チームの雰囲気が悪くなることもあったという。

 そこで、機能ごとに現場ユーザーと開発側をつなぐ窓口となるプロダクトオーナー(PO)を配置し、ユーザーからのフィードバックを即座に反映させる体制を整えた。POは、担当する機能についての決定権を持っており、ユーザーは意見を目の前のPOに伝えることができる。まず、検査報告書のデジタル化から着手し、その後も機能追加を繰り返しながらシステムを成長させてきた。

●Next:オフショア開発の活用と「SDMくん」プロジェクトの成果

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