[市場動向]
“作る”技術者はもう不要なのか?─情報処理技術者試験「大改正」を検証する
2026年2月5日(木)佃 均(ITジャーナリスト)
経済産業省が検討を進めている情報処理技術者試験の見直し案が明らかになった。デジタル化の波や生成AI技術の急速な進展を背景に、「デジタル技術等の活用に必要となるリテラシーレベルから、専門家へ至るまで、“土台”として幅広いスキル(知識・技能・経験)を身につけることが必要」とし、従来の技術中心からスキル重視に大きく舵を切ることになる。筆者の推測を交えて見直し案を検証してみた。
経済産業省が認定するIT分野の国家試験、情報処理技術者試験は、国産コンピュータ開発の促進と情報産業の振興および情報化社会の実現を目的に、1969(昭和44)年にスタートした。情報処理振興事業協会(現・情報処理推進機構〈IPA〉)を試験実施機関として57年の歴史を持っている。
この間、主なもので以下の改編・改訂を行ってきた。今回の見直しは16年ぶりとなる。
1994年
初級/上級システムアドミニストレータ試験、プロダクションエンジニア試験、データベーススペシャリスト試験を新設
特種情報処理技術者試験をシステムアナリスト試験などに分割
2001年
テクニカルエンジニア試験、情報セキュリティアドミニストレータ試験を新設
2009年
ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験を新設
上級システムアドミニストレータ試験とシステムアナリスト試験をITストラテジスト試験に統合
写真1:概要を説明するデジタル人材政策室長の迫田章平氏(2025年12月22日に開かれた経済産業省の記者説明会より)ITエンジニアの役割が変わる
報道関係者向けになされた説明の実際は、筆者が運営するIT記者会の講演再録「情報処理技術者試験の見直し説明会(2025年12月22日:経済産業省)」で確認していただくとして、「見直しの背景」は次のようだった。
●生成AI技術の急速な進展
●グローバルな産業構造の変化
●データ/デジタル技術を駆使した経営変革の推進
●スキル変化に対する不断のアップデートが必要
前回の改定から16年、その間にITそのものが質的に変化した。技術も利用目的も変化している。「情報処理」はもはや過去の遺物、「技術者」という言葉は同じでも意味が違う。これまで技術者の仕事は「作る」(設計する、開発する、構築する、運用する)だったが、今後は「利用する」(活用する、変革する)に変わっていく。要因はデジタル化の進展と生成AIの登場だ。
次に示されたのが「情報処理技術者試験の見直しポイント」(図1)だ。応用情報技術者試験(レベル3)と高度情報技術者試験(レベル4)の9種を3つに集約・再編することに話題が集中しているが、見直しポイントの第1は「データマネジメント試験(新設)」、第2が「ITパスポート試験(最適化)」となっている。
図1:情報処理技術者試験の見直しポイント(出典:経済産業省)拡大画像表示
応用/高度試験を3領域に再編
これに続けて示された見直し案の具体的な中身は次のようになっている。
(1)ITパスポート試験の出題内容を見直す
(2)応用情報技術者試験と高度情報処理技術者試験8種を再編する。
・プロフェッショナルデジタルスキル(PDS)試験(仮称)
※PDS試験は3領域(システム、データ・AI、マネジメント・監査)に集約
(3)データマネジメント試験(仮称)を新設
(4)新たな試験の開始は2027年度から
(5)CBT(Computer Based Testing)に全面移行
(6)論述試験は別枠で実施、「PDS試験(仮称)」3種の習得が前提
(7)デジタル人材スキルプラットフォームを構築する
基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験および、情報処理安全確保支援士試験は変更がない(図2)。経産省は試験実施機関であるIPAと連携して2026年3月末までに詳細を詰め、2026年度を準備期間として位置づける。
試験問題ばかりでなく、試験周辺のサービス事業者(セミナー、教材制作、教育研修など)および、民間IT資格試験との調整を経て、「2027年度のどこか」(経産省デジタル人材政策室企画調整官の枝川慶彦氏)で実施したい考えだ。
図2:情報処理技術者試験の見直し案。上が現行、下が検討案(出典:経済産業省)拡大画像表示
●Next:見直し案への大きな反響─ITエンジニアのスキルセットは今後どうなる?
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