[調査・レポート]

AIの活用でエンジニアの週7時間の作業時間が失われる「AIパラドックス」が発生─GitLab調査

2026年2月4日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三

GitLabは2026年2月3日、日本国内のソフトウェア開発に関する調査レポート「The Intelligent Software Development Era: How AI will redefine DevSecOps in 2026 and beyond」の概要を発表した。AIでコーディングのスピードが上がった一方、ツールチェーンの断片化が新たなボトルネックとなり、開発チームメンバー1人あたりで、週にほぼ1日分の作業時間が失われているという。

 バージョン管理システム「GitLab」を提供するGitLabは、日本国内のソフトウェア開発に関する調査レポート「The Intelligent Software Development Era: How AI will redefine DevSecOps in 2026 and beyond(インテリジェントソフトウェア開発の時代:AIによって2026年以降のDevSecOpsはどのように再定義されるのか)」を発表した。調査は2025年7月31日~8月15日に実施しており、日本のITエンジニア251人から回答を得ている。

 調査のハイライトとして、AI活用によって生産性が低下してしまう逆説的な現象「AIパラドックス」が起こっていることを挙げる。AIでコーディングのスピードが上がった一方、チームごとに異なるツールを使うことや、使うツールが多過ぎることなどが新たなボトルネックとなり、チームメンバー1人あたり週にほぼ1日分(7時間)の作業時間が失われているという(図1)。

図1:ソフトウェア開発におけるコラボレーションの障壁(出典:GitLab)
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 GitLabは、「実際、回答者が所属する組織の72%は、少なくとも週に1回は本番環境へのデプロイを行っているが、一方で、ツールの氾濫(41%の組織が5つ以上のソフトウェア開発用ツールを使用、35%が5つ以上のAIツールを使用)が生産性を妨げている」と指摘する(図2)。

図2:ソフトウェア開発に使うツールの数(出典:GitLab)
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 また、回答者の58%は、AIによってコーディングが容易になるにつれ、エンジニアの数は減るのではなく、むしろ増えると考えている。また、回答者の74%は、今後5年以内にAIによって自分の職務が大きく変わると見ている(図3)。

図3:ITエンジニアが予想する、AIによるエンジニアの役割の変化(出典:GitLab)
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 GitLabは調査結果について、「コーディングがこれまでになく高速化している一方で、ソフトウェアライフサイクル全体における品質、セキュリティ、スピードの欠如が、イノベーションの実現に摩擦を生じさせていることが浮き彫りになった」と総括している。主な調査結果は次のとおり。

●AIパラドックスの中で必要となる新しい運用フレームワーク

  • 調査に回答した日本国内のDevSecOps担当者は、部門間のコミュニケーション不足や限定的な知識共有、チームごとに異なるツールの使用といったコラボレーション上の障壁が原因で、非効率なプロセスに週あたりおよそ7時間を浪費している。
  • 回答者の41%が、ソフトウェア開発に5つ以上のツールを使用。
  • 35%が、ソフトウェア開発に5つ以上のAIツールを使用。
  • 72%が、エージェント型AIはプラットフォームエンジニアリングのアプローチを採用することで最も効果を発揮すると回答。

●AIによる役割の再構築でエンジニアは増員され、スキルアップのプレッシャーが高まる

  • 回答者の58%が、AIによってコーディングが容易になるにつれて、エンジニアの数は増えると予測。
  • 62%が、AIを活用するソフトウェアエンジニアは、将来のキャリア継続をより確実なものにできるだろうと回答。
  • 74%が、今後5年以内にAIによって自分の職務が大きく変わると予測。
  • 80%が、スキルアップを支援するために組織による投資の拡大を望んでいると回答。

●AIの導入準備が普遍的な段階に達しつつある一方で、人による監視は依然として不可欠

  • 回答者の84%が、現在ソフトウェア開発ライフサイクルにおいてAIを使用している、もしくは今後の導入を計画していると回答。
  • 34%は人間の確認なしで日常業務をAIに任せられると考える。
  • 60%が、バイブコーディングによって作成されたコードによる問題を経験したことがあると回答。
  • 76%が、創造性や革新性といった、AIエージェントでは完全に置き換えられない人間の本質的な資質が存在すると回答。

AI導入の拡大に伴ってコンプライアンスは一層複雑化、専門知識の必要性が高まる中、今後はコンプライアンスをコードに組み込む方向へ

  • 回答者の53%が、AIによって組織のコンプライアンス管理がより困難になっていると回答。
  • 62%が、現時点でのコンプライアンスの問題は、開発プロセス中よりもデプロイ後に発見されることが多いと回答。
  • 47%が、「セキュリティやコンプライアンスへのAI活用」がキャリアアップに最も重要なスキルであると考えており、コード生成へのAI活用やプログラミング言語の習熟よりも優先すべきと回答。
  • 59%が、2027年までにコンプライアンスがコードに組み込まれ、自動的に適用されると予測。
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