「データマネジメント2025」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)にSnowflake合同会社の玉置 誠氏とCCCMKホールディングスの松井太郎氏が登壇した。Snowflakeはデータのあらゆるサイロをなくし、AI活用によって新たなビジネス価値の創出を目指している。CCCMKホールディングスは、Snowflakeを活用することで次世代のデータ基盤づくりに成功した。
提供:Snowflake合同会社
Snowflakeが選ばれる4つの理由
多くの企業にとって、データ活用をいかに加速させるかが重要な課題となっている。しかし、さまざまな組織やシステムにデータがサイロ化している状態では、思うような活用は進まない。根本的な障壁はデータの分散であり、スケーラブルなデータプラットフォームを得られないことだ。
この課題解決に向けて、グローバルで注目されているのがSnowflakeだ。データの複雑なサイロを排除するとともに、最近ではデータとAIを簡単かつ効率的に使いこなすことができる統合データプラットフォームへと発展している。なぜSnowflakeが多くの企業から選ばれているのか。スノーフレーク 第二セールスエンジニアリング本部 本部長の玉置 誠氏は、次の4つの理由を示す。
- Single Data Platform……ほぼ無制限のスケーラビリティを備え、複数のワークロードを1つプラットフォームに統合し、データサイロ化の課題を解決する
- Data Access & Collaboration……自社データをエンリッチする3,000以上のデータセットにアクセスし、即座にデータ連携を行える。データ共有によるコラボレーションを加速する
- Security & Governance……コンプライアンスとリスク削減のニーズを満たす厳格な管理により、データを安全に保護。高度なセキュリティ制御機能によって、あらゆる業種のニーズに対応する
- Automated Operation……大量のデータを格納し、ユースケースが増大した場合でも、フルマネージド化された運用によって社内の負荷を最小化できる
Snowflakeのベースにあるのは、データの共有とアクセスを再定義する「Secure Data Sharing」というテクノロジーである。分散したデータを統合するため、従来はFTP、APIスクレイピング、ETLなどの手段を利用してデータを移動させる必要があったが、これには多くの時間とコストがかかる。同時にセキュリティ面のリスクやデータ設計の遅延といった問題もあった(図1)。

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「Secure Data Sharingは、既存手段によるデータシェアリングの複雑さを解消し、チームやエコシステム全体のコラボレーションを促進します」(玉置氏)

CCCグループにおけるSnowflakeによるデータ基盤革新
実際にSnowflakeを導入することで、データ活用を加速するとともに、プライバシー保護への取り組みを強化したのがCCCMKホールディングスである。TSUTAYAや蔦屋書店などを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社である同社は、データベースマーケティングを通じた生活者へのライフスタイル提案を担っている。
CCCMKホールディングスがオンプレミスで運用していたデータ基盤に限界を感じ、クラウド化に踏み切ったのは2018年頃のことである。ただ、クラウドリフトを進めている間にもワークロードはどんどん増大していき、課題解決には至らなかった。IT戦略本部 本部長の松井太郎氏は、「ポイントデータやデータ活用の高度化に対応し、事業を成長させるためにデータ基盤の刷新が求められました」と語る。

そこで従来からの延長線ではない、よりモダンなクラウドネイティブのアーキテクチャを探し求め、2020年に出会ったのがSnowflakeだった。CCCMKホールディングスが新たなデータ基盤のビジョンとして描いたのは、次の3点だ。
- シングルソース……分散したデータベースを統合しつつ、リソース競合を解消できるアーキテクチャーを備えている
- マルチワークロード……ヘビークエリーからBIのライトクエリー、機械学習まで多様なワークロードに対応できる
- デリバリーイージー……新規事業やコラボレーションを加速する柔軟なデータ機能を提供している
「Snowflakeならば、これらのビジョンを実現できる」と判断し、導入を決定。2021年から段階的なクラウドシフトを進め、2024年に稼働を開始した。同年4月にCCCの「Tポイント」とSMBCグループの「Vポイント」が統合され、アクティブなポイント会員は合算で8600万人へと急増した。
「現在はSnowflakeに集約・統合されたデータを、全社のさまざまなサービスやツールから利用しています。約600名いる全社員が利用するBIをはじめ、100名近くのアナリストが利用する分析ツール、データサイエンティストが活用する機械学習などのAI基盤、さらに社外向けの分析サービスでもSnowflakeを活用しています」(松井氏)

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AI機能を組み込んだデータ活用フェーズへ
CCCMKでは今後に向けてもSnowflakeをさらに活用し、「顧客価値の追求」「グループ全体でデータを活用したシナジーの最大化」「新規事業の促進と新たな顧客体験の創出」「異業種とのコラボレーションの拡大」といったテーマに取り組んでいく考えだ。そのためにもデータマネジメントの強化が欠かせない。
「現在チャレンジしているのが、Snowflakeへのデータカタログ移行です。単一画面内でカタログを利用したユニバーサル検索が可能となるなど、よりインタラクティブで効率的なクエリー体験を提供します。加えて関心を持っているのがAI活用です。ビジネス用語とデータベースの情報をAIが紐づけることで、より効率よくデータを解釈できるようになります。これは今後のデータ基盤の整備における最大化の鍵となると考えています」(松井氏)

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玉置氏は「今後のデータ活用やAI活用のためには、より良いデータ基盤整備が必要であり、その最適なソリューションとしてSnowflakeは新機能を拡充していきます」と語る。具体的には、Snowflakeをよりスケーラブルなデータ基盤として機能強化を継続しながら、生成AIまわりでは基盤LLMモデルの拡充、Text2SQLでのデータ分析サービス、RAGを簡単に構築できる低遅延で高品質なファジー検索を可能にするCortex Searchなどさらなる機能強化をしながらデータ利活用を推進していく。さらに自社データだけでなく、組織間・企業間のデータ交換を加速し、外部データとも容易につながる世界観を拡大することで、データが生み出す価値を増幅していくと力強く語った。
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