[市場動向]
「経費精算のない世界」を実現し、AIとビッグデータで“その先”へ─コンカーが目指す将来
2025年10月28日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
「経費精算という業務が将来的になくなる」──コンカーはこの見立てに基づいて、業務の自動化や効率化に加えて、経費精算システムの運用自律化やデータ分析を通じた洞察の提供に注力している。2025年8月28日に開いた説明会の内容を基に、同社が取り組む間接費管理の課題解決に向けたAI/ビッグデータ活用の新たなビジョンや今後の事業戦略について見ていく。
独SAPの子会社で、出張・経費管理クラウドサービスを専業で提供するコンカー。経費精算システム「Concur Expense」をはじめ、出張管理の「Concur Travel」、請求書管理の「Concur Invoice」などを提供している。
以前より同社は、「経費精算のない世界」の実現を掲げ、間接費管理の効率化と、それを通じた企業の生産性向上を目指してきた。同社 代表取締役社長の橋本祥生氏(写真1)は「近い将来、経費精算という業務は世の中からなくなると考えている」とし、ビッグデータやAIの活用で「経費精算のない世界の『その先』を目指している」と語った。
写真1:コンカー 代表取締役社長のの橋本祥生氏そんな同社が掲げる新ビジョン「Vision2028」では、(1)自動化や効率化による経費精算のない世界の実現に加えて、(2)サービスの設定や運用の自律化、(3)戦略的な洞察を得るためのデータの民主化、の3点に注力している(図1)。
新ビジョンの背景として、橋本氏は、将来的な生産人口の減少や労働生産性の低さ、コンプライアンス違反の増加といった、間接費管理を取り巻く社会課題を挙げている。AIやビッグデータを活用してこうした課題を解決し、経費精算業務を起点に、企業全体のデジタル化を促進するという。
図1:コンカーが掲げる「Vision2028」の概要(出典:コンカー)拡大画像表示
一方で、AI活用で成果を生むには、高品質かつ大量のデータに加えて、個人情報の保護や倫理的な基準への準拠も求められる。橋本氏は、コンカーがこれらの要件を満たすサービスを提供できると自負する。
その根拠として、SAPが開発する高度なAI基盤・サービスとの連携や、年間10億件の経費明細や3000万件の出張データなどを含む、グローバルで1億人に上るユーザーが生むビッグデータを挙げた。豊富な支援実績から来るナレッジ、パートナーエコシステムも強みであるとアピールしている(図2)。
図2:AI活用においてコンカーが訴求する強み(出典:コンカー)拡大画像表示
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