[イベントレポート]
AIはデジタル世界から物理世界へ─IFSとBoston Dynamicsが挑む産業ロボットの形質転換
2025年12月5日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)
スウェーデンIFSが米Boston Dynamicsと手を組んで、産業ロボティクスの変革に取り組む。2025年11月のIFS主催イベント「Industrial X Unleashed」の「AIの新境地:現実世界で挑む知能」と題したセッションでは、IFSが掲げる「Industrial AI applied(産業用AIの実用化)」に向けた取り組みとして、Boston Dynamicsの自律歩行ロボット「Spot」に「IFS.ai」という“頭脳”を授け、現場の異常検知から判断、アクションまでを自律的に完結させるさまを披露した。
「仕事の7割はデスクの外」AIが物理世界に移行する必然
米ニューヨーク市で開催したプライベートイベント「Industrial X Unleashed」の基調講演で、IFS 最高経営責任者(CEO)のマーク・モファット(Mark Moffat)氏は、AIが実用的な日々の業務やビジネスに実用できる必要性を訴えた(関連記事:「産業現場に文脈なきAIは無意味だ」─IFSが“世界最高のパートナーたち”と目指す産業用AIの実用化)。
「AIの新境地:現実世界で挑む知能」と題したセッションに、IFS 最高製品責任者(CPO)のクリスチャン・ペダーセン(Christian Pederson)氏(写真1)が登壇。AIの新境地を「デジタル世界から物理世界へシフトすること」とし、その理由を、「世界の仕事の70%はデスクから離れた現場で行われているためだ」と説明した。
写真1:IFS CPOのクリスチャン・ペダーセン氏そのシフトにおいてIFSが着目するのは、人間、デジタルワーカーに続く労働力「ロボットワーカー」だ。
労働現場でロボットを活用する産業ロボティクスは何十年も前から取り組まれてきたが、それらとは何が違うのか。「同じ動きを繰り返す作業が一般的だった既存のロボットとは異なり、今後、物理世界で活躍するロボットワーカーは、デジタルワーカーと同じレベルでビジネス全体に関するコンテキスト理解と知識を持つ」(ペターゼン氏)。
米アクセンチュアでインダストリーX北米地域統括を務めるプラサド・サティヤヴォル(Prasad Satyavolu)氏(写真2)は、米国内の製造業の課題を次のように指摘した。
「消費者の要求は急速に難化しており、それが製造の生産現場において、スパゲッティーのように絡み合った複雑さを生み出している。そこにメンテナンス、資産の老朽化、労働力不足などが重なり、生産設備などインフラの変革を阻害している」
写真2:アクセンチュア インダストリーX北米地域統括のプラサド・サティヤヴォル氏●Next:AIの急激な進化でロボティクス分野は飛躍的に進化
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