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[データマネジメント2025]

既存データから新たな示唆を得る─エンタープライズ企業の先進事例に見るAI SaaSのインパクト

2025年6月2日(月)

AI技術の進化によりデータ活用の可能性は急速に拡大している。しかし多くの企業では、デジタル化は進んでもデータが有効活用されないまま「サイロ化」する課題を抱えている。2025年3月7日に開催された「データマネジメント2025」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)に、Miletos代表取締役社長 兼 CEOの髙橋康文氏が登壇。AI SaaS導入事例を通じて、複数のデータの組み合わせで生まれる新たな価値や、業務効率化を実現する実践的アプローチを解説した。
提供:Miletos株式会社

企業内に眠るデータ資産をAIがどう活かすか

 2016年に創業したMiletos社は、約70名の規模でAIプロダクトとAIコンサルティングを手がけている。主力製品は経費精算や請求書支払いを扱う「SAPPHIRE」と入金消し込みを自動化する「STREAM」の2つだ。

Miletos 代表取締役社長 兼 CEO 髙橋康文氏Miletos株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 髙橋康文氏

 Miletos代表取締役社長の髙橋康文氏は企業のDX部門やICT部門が扱うデータ量や業務が増え続けている現状にふれ、データ活用の現状はデジタライゼーションによってデジタル化されたデータだけが溜まってサイロ化していく状況が多いと指摘する。データ単体に大きな意味はなく、活用するための設計が欠かせない。データがサイロ化しているなど、データリテラシーに課題があると、結局は直感や経験頼りになってしまう。

 データマネジメントの本質について髙橋氏は「マネジメント=管理ではなく、データを使って改善していくことが必要です」と強調する。そして、分析とは比較することであり、価値が限定的となる単一のデータではなく、複数のデータの関連付けによって初めて因果関係が明らかになると説明した。例えば営業の出張費が前年比20%アップした場合、受注金額の増減との因果関係を確認しなければ、その妥当性を判断できない。

 このような価値を生み出す改善活動は、社内にあるデータの組み合わせで実現できるという。具体例として髙橋氏は、MiletosのSAPPHIREを使って通勤費や在宅手当を出退勤データから予測し、自動判定している導入企業の事例を挙げた。データを活用して、統制強化とユーザーの負担削減を両立しているのだ。

 AIによる通勤費・在宅手当の自動判定を実現しているのは特別なデータではない。カレンダー情報や入退館情報、拠点情報などの基本データを組み合わせることで、「家を出て出社し、会社からお客様のところへ行き、帰ってくる」といった動きを自動で把握し経費を予測する。あるいは外出せずに出勤していれば在宅と判断し、在宅手当を自動で予測する(図1)。

図1:業務データから、各種手当の自動判定を実現する図1:業務データから、各種手当の自動判定を実現する
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 「コロナ以降、リモートワークが普及し、誰がどこで何をしているかが上司にはわかりづらくなりました」と髙橋氏。領収書だけを見ても、それが正しいかどうかを経理部門だけで判断するのは不可能に近いため、各種データを組み合わせて状況を判断するプロセスとその自動化が必要です」(髙橋氏)。

 不正チェックも同様だ。たとえば、大阪に出張しているはずなのに、東京で会食費が計上されているような矛盾は、経費精算システム内のデータを比較すれば検出可能だ。しかし検証ポイントは経費領域だけでも100個以上あり、人力でチェックするのは非常に困難だ。髙橋氏はAIが搭載されたサービスを活用することで効率化できると強調した。

AI SaaS×データマネジメントによりデータが「価値ある資産」に変わる

 髙橋氏は、単なるデータ管理から一歩進んだAIを搭載したSaaSの進化についても語る。データを分析してパターンや異常値を自動検知する、ルールベースではなく学習によって予測や最適化を行う、業務の自動化だけでなく意思決定のサポートをするといった進化を遂げているという。これらを実現しているのがMiletosのもう1つのプロダクトである入金消し込みシステム、STREAMだ。

 「1万件の明細処理が、従来の1万6000時間から10秒に短縮されました」と髙橋氏はその驚異的な効率化の成果を示した。この背景には、入金消し込み作業の困難さがある。日本語の特性(漢字・カタカナ・ひらがな・半角/全角の混在)や金額の差異、消費税の計算方法の違いなどが入金消し込みを複雑にしている。STREAMではAIのマッチングアルゴリズムを活用し、これらの課題を解決している。

 消し込み工数の削減だけでなく、未入金の請求書を即座に把握できる点もSTREAMの効果だ(図2)。大企業では消し込みに5営業日を要し、10日後には再び入金確認や未入金対応に追われることが多い。請求書の出し忘れや処理の遅れにより、入金が2〜3カ月後になるケースも少なくない。「STREAMを活用すれば、月末の消し込み後に未入金を即確認し対応が可能になります。2カ月の滞留が解消されるのは大きな効果です」(髙橋氏)。

図2:翌月に行っていた入金消し込みと原因特定などを月末に実施可能に図2:翌月に行っていた入金消し込みと原因特定などを月末に実施可能に
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 入金データの分析により、特定の顧客の与信を下げるべきか、あるいは上げても問題ないかの判断も可能だ。外部の評価サービスよりも実用的な与信判断が可能になり、業績向上につながる意思決定ができる。

目の前の課題を特定し、データ分析で解決していく

 企業には多様なデータがある。分析に適したデータを取捨選択するためには、目の前にある課題を特定することが重要だと髙橋氏は語る。SAPPHIREにおいて出張経費の正当性を検証する機能を開発したのも、顧客の経理担当者から「いまだにある空出張を解消したい」という課題を聞き、その企業の保有データを検証したのがきっかけだ。

 これまでは、データの精度を重視すれば確認に時間がかかり、スピードを優先すれば精度が下がるというジレンマがあった。しかし「AIの活用によってこの課題が解消され、意思決定のスピードと精度を両立できる時代になりました」と髙橋氏は語る。ただ、日本企業でのAI活用はまだ進んでおらず、その背景には技術への理解不足や人材の不足がある。経営層がAI導入を求めても、現場での具体的な活用方法が定まっていないことが多い。一方で、現場がAI導入を望んでも、経営層が投資対効果を判断できず、導入が進まないケースもある。

 髙橋氏は、まずは小さな課題からAI活用を始めることを推奨した。AI活用領域を決めたら、そのためのデータ環境を構築する。データの統合や取捨選択を行うのだ。同時に社内でAIを活用できる体制作りも欠かせない。RPAの導入で失敗するケースでよく見られるのが外部ベンダーへの依存だ。AIツールも同様のリスクがあるため、社内で簡易的にデータを扱える体制を整えることが大切だと髙橋氏は指摘する。社内で小さな課題を解決できれば、運用を継続しながら取り組みを拡大していける(図3)。

図3:既存データをAIによって価値ある資産に変えるステップ 図3:既存データをAIによって価値ある資産に変えるステップ
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 髙橋氏は、「社内向けに生成AIのサンドボックスを導入し、『さあ使いましょう』という話もありますが、課題が明確でなければ導入の現実味が薄れ、活用の広がりも期待できません。多くのAI技術がある中で、適切なものを選び、どのようにシステムへ組み込むかが重要です。導入後も運用しながら改善を重ね、継続的に活用していくことが、データマネジメントの理想的な形だと考えています」と締めくくった。


●お問い合わせ先

Miletos株式会社

URL:https://miletos.tech/

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