[市場動向]

米IBM、データストリーミング基盤の米Confluentを110億ドルで買収

IBMクリシュナCEO「AIに特化したスマートデータプラットフォームを提供する」

2025年12月10日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三

米IBMは2025年12月8日(米国現地時間)、分散データストリーミング基盤「Apache Kafka」の商用版を開発・提供する米Confluent(コンフルエント)を約110億米ドル(約1兆7200億円)で買収すると発表した。発行済み株式を1株あたり31ドルの現金で取得する。買収取引は、2026年半ばまでに完了する予定である。

 米IBMは、オープンソースソフトウェア(OSS)の分散データストリーミングプラットフォーム「Apache Kafka」の商用版(画面1)を開発・提供する米Confluentを約110億米ドル(約1兆7200億円)で買収する。発行済み株式を、1株あたり31ドルの現金で取得する。買収取引は2026年半ばまでに完了する予定である。

画面1:「Apache Kafka」商用版の管理画面例(出典:米Confluent)
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 Confluentは2014年、Kafkaの共同創設者が米カリフォルニア州のシリコンバレーで設立したソフトウェアベンダー。リアルタイムデータの収集・処理・配信を可能にするクラウドネイティブ技術を基にしたKafkaの商用版を通じて、ユーザー企業のイベント駆動型アーキテクチャの構築を支援している。金融、小売、製造など幅広い業界で、データパイプラインの統合とリアルタイム分析基盤として採用されている。

 Kafkaは、大量のデータをリアルタイムで処理するために設計された分散ストリーミングプラットフォーム。元々はLinkedInで開発された技術で、高スループット/低レイテンシでメッセージの送受信を可能にする。

 送受信を行うシステム間の関係を疎結合にする仕組みのほか、ストリーミングデータを扱うアプリケーションの入力データが急激に増加する際の負荷を抑制する。サーバーの台数を増やすスケールアウトによって、拡張性と耐障害性を確保できる。複数のアプリケーション間でデータを非同期に連携させ、ログ収集やイベント処理などに広く利用されている。

 Confluentは、Kafkaの商用版の提供にあたって、クラスタ構築・管理を簡素化する統合管理コンソールや監視機能、リソースのスケーリング機能といった運用管理機能を強化している。提供形態として、オンプレミス版とマネージド型のクラウドサービスを用意している。

 Confluentの買収によってユーザーが得られるメリットについて、米IBM 会長兼CEOのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)氏は、「環境、アプリケーション、API間で、信頼できる通信とデータフローを提供する。これにより企業は、生成AIやエージェント型AIをより迅速かつ効果的に導入できる」と説明。この買収によってIBMは、AIに特化したスマートデータプラットフォームを提供すると述べている。

 米IDCによると、2028年までに10億以上の新しいアプリケーションが登場し、業界全体の技術アーキテクチャを再構築する。「これらアプリケーションやAIエージェントが実用的な成果を生むためには、信頼できるデータにリアルタイムでアクセスする必要がある」(IBM)

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