ライオンは2025年10月15日、データドリブン経営のための「全社データ基盤」をGoogle Cloudを基盤に内製開発したと発表した。ERPをはじめとする各種システムのデータを集積して、ダッシュボードで可視化する。経営層が直接リアルタイムで活用し、迅速かつ的確な意思決定を行うことを目的に取り組んだ。
ライオンは、2025年からの中期経営計画「Vision 2030 2nd STAGE」の1テーマである収益力の強靱化に向けて、“経営に直接貢献するデジタル戦略”を推進している。なかでも重視するのが、データドリブン経営の手法に基づく「データ基盤整備による未来予測型経営」で、各事業やシステムに分散していたデータを統合し、経営レベルでリアルタイムに活用できる全社データ基盤を不可欠な施策として捉えていた。
全社データ基盤プロジェクトでは、稼働基盤にGoogle Cloudを採用し、社内の専門組織「クラウドCoE(Center of Excellence)」の主導により内製で構築を進めた。「外部ベンダーへの依存を最小限にしたことで、技術的な知見を社内に蓄積すると共に、ビジネス環境の変化に迅速に対応可能な俊敏性を確保した」(同社)という。
構築した全社データ基盤に、基幹の「SAP S/4HANA」をはじめとした各種業務システムのデータを集積。経営層をはじめとするエンドユーザーに向けて、ダッシュボードでリアルタイムに可視化する(写真1)。

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同社によると、これまでの意思決定においては経験に頼る部分が大きかったという。こうした経験値主体の経営から脱却し、データに基づく「データドリブン(データ駆動型)経営」への転換を目指す。経営層は、ダッシュボードを通じて経営状況を把握し、変化の兆しを捉えたうえで意思を決定できるようになる。
ライオンは今後、マシンラーニング(機械学習)などのAI技術を活用し、需要予測に基づくサプライチェーンの最適化など、未来の経営指標を予測する機能を追加する計画である(関連記事:ライオン、研究データを追加学習した生成AIモデル「LION LLM」の構築に着手)。