京王電鉄(本社:東京都多摩市)がグループ横断の顧客データ基盤(CDP)を構築した。データ分析プラットフォーム「Databricks」を採用し、生成AI機能を活用して現場の業務ユーザーみずからデータ分析の施策を検討できるようにした。Databricksの導入・活用を支援するナレッジコミュニケーションが2025年11月14日に発表した。
京王電鉄を中核に、交通、不動産、ホテル、建設設備、生活サービスの各事業を展開している京王グループ。グループ内の連携を進めて顧客接点を広げていく中、「京王アプリ」のリニューアルなど、デジタル技術を活用した施策に注力している。
京王アプリを起点に各サービスのID統合を進め、顧客の移動・購買など行動様式に関する情報を蓄積している。取り組みの過程で、各データを横断して分析可能な顧客データ基盤や、AIを活用した顧客分析といったニーズが高まっていったという。
そして、CDPの構築プロジェクトが始動し、ナレッジコミュニケーションの支援の下、Databricks Japanの「Databricks」を導入した。Databricksは分散処理エンジンの「Apache Spark」を基盤技術にストリーミング処理とバッチ処理の両方に対応、あらゆる形式のデータを扱うデータレイクハウスを標榜するデータ分析プラットフォームである。
京王電鉄は早期からAWSのクラウド基盤を活用している、「Amazon S3」にデータを格納して、クラウドデータウェアハウス(DWH)の「Amazon Redshift」でデータを管理・分析してきた。
今回導入したDatabricksを、AWSの閉域網内に導入して、現行環境と共存させる仕組みをとる。京王電鉄 経営統括本部 デジタル戦略推進部 企画担当課長補佐の菊池透矢氏は、Databricksを採用した決め手に「構築基盤としてAWS を選択でき、既存環境と共存しながらスムーズな導入が可能な点」を挙げている。
従量課金モデルにより、初期投資を抑えつつ人的・金銭的・運用面の負担を軽減したPoCを実施できたという。「AWS PrivateLinkにより、グループの閉域網に限ってアクセス可能という既存のセキュリティポリシーも維持できている」(菊地氏)。
画面1:「Databricks」のLLM選択画面(出典:Databricks Japan)拡大画像表示
Databricksは、主要な大規模言語モデル(LLM)を参照可能な生成AI機能「AI/BI Genie」を備えている(画面1)。菊池氏は「SQLの知識がなくても自然言語でデータを集計・分析でき、現場の業務ユーザーみずから施策を検討できる。単純なデータ分析基盤構築以上の価値がある」と評価する。
今後、グループ横断の分析を定常化させながらデータの取得範囲を広げ、“データの重なり”を増やしていくという「合わせて、生成AI機能で事業部門のエンドユーザーによるセルフサービス分析を促進する。顧客動向の可視化を起点に、施策の立案と検証を素早く実行する」(菊池氏)。

































