[事例ニュース]
日本郵船、グループ350社の会計システムを「SAP S/4HANA Cloud」に移行
2025年11月27日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三
日本郵船(本店:東京都千代田区)は2025年11月27日、国内外のグループ子会社約350社の会計システムをクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」に移行したと発表した。シグマクシスとSAPジャパンの支援の下で移行を終え、同年7月から稼働している。Fit to Standardを徹底し、約450件あったアドオンを約1割まで縮小している。
海運事業を核とする総合物流企業の日本郵船は、データドリブン経営を目指した経営基盤刷新プロジェクトの一環で、国内外のグループ子会社約350社の会計システムを、SAPジャパンのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」(画面1)に移行した。シグマクシスとSAPジャパンの支援の下で移行を終え、2025年7月から稼働している。
画面1:「SAP S/4HANA Cloud」の画面例(出典:SAPジャパン)拡大画像表示
会社ごとに複数のシステムに分散していた会計基盤を一元化し、グループ全社で業務の標準化を図った。S/4HANA Cloudのモジュールから、以下5つの会計・財務領域モジュールを導入している。
- 制度会計(FI):債権債務の計上や財務諸表の作成など
- 管理会計(CO):経営管理のための原価・収益管理
- 財務取引管理(TRM):為替や借入などの金融取引管理
- 資金管理(CM):資金の一元管理や資金繰りの予測など
- インハウスバンキング(IHB):仮想口座を用いてグループ内でネッティングや資金の集中管理
導入にあたっては、ERPの標準機能に業務を合わせるFit to Standardを徹底し、従来のシステムでは約450件あったアドオン開発機能を約1割まで縮小している。「システムの定期バージョンアップを最小限の工数で対応できるようになり、稼働直後の同年8月に行ったグローバルバージョンアップも円滑に完了した」(日本郵船)という。
今後、ERPのバージョンアップを通じて最新技術を取り込みながら業務の標準化を継続するとしている。また、標準化によって整備されたクリーンコア環境において生成AIを活用した定型業務の自動化も計画。データドリブン経営の実現に向けて、さらなる社内システム基盤の高度化に取り組むとしている。
日本郵船 / S/4HANA Cloud / クラウド移行 / システム統合 / クラウドERP / Fit To Standard / シグマクシス / SAP / ERP / 運輸・交通 / 物流 / 海運 / 船舶 / 会計 / 基幹システム

































