大手医療用医薬品メーカーの扶桑薬品工業(本社:大阪府大阪市)は、基幹システムをERPアプリケーション「SAP S/4HANA」で刷新した。サプライチェーン管理の統合や業務標準化に向けて、分断されていた複数のデータベースを1つに統合した。これにより、製造、販売、財務会計の各業務間でデータを継ぎ目なく連携できるようになった。システム構築を支援する日立ソリューションズが2026年2月3日に発表した。
扶桑薬品工業は、日本で初めて人工腎臓用透析液を開発した、この分野のトップメーカーである。輸液・注射剤などの基礎的医薬品を製造・販売している同社は、製品の安定供給を社会的使命として位置づけている。「安定供給の実現には製造拠点や物流拠点に加え、これらを支えるシステムの整備が不可欠であり、特に基幹業務を担うERPは企業活動の中核を担っている」(日立ソリューションズ)。
一方、扶桑薬品が運用してきた従来のERPは、製造や販売、財務会計など、それぞれの業務領域ごとにシステムとデータベースが分かれていた。システム連携はインタフェースを介して行わねばならず、不整合や遅延の恐れがあった。加えて、一部業務ではデータの二重入力が発生していた。さらに、スクラッチで開発したシステムであることから、業務の属人化も問題だったという。
図1:扶桑薬品工業が構築した基幹システムの概要(出典:日立ソリューションズ)拡大画像表示
こうした中、ERPの保守期限を控えていたことを機に、業務標準化を推進するため、SAPジャパンの「SAP S/4HANAを新たなERPとして採用した。2023年9月、日立ソリューションズの支援の下、Fit to Standardのアプローチでシステム構築を開始し、2025年4月に本稼働を開始した(図1)。
扶桑薬品工業 DX推進室室長の大場未知男氏によると、ERPの移行プロジェクトでは移行データの準備に苦労したという。「リハーサルや本番に向けて、現状のデータベースを念入りに分析して臨んだ。1万4000以上ある出荷パターンの作成は半年以上前から準備を進めた」(大場氏)。
刷新後は、S/4HANAでデータベースを統合したことにより、二重入力を解消した。製造、販売、財務会計の各業務間でデータを継ぎ目なく連携できるようになった。「営業担当者が分析に用いる受注実績など、必要なデータを素早く取得できるようになった」と、大場氏はデータベース統合の効果を話す。
今後は、リアルタイムで経営状況を可視化するダッシュボードの作成や、製品の流通履歴を追跡できるトレーサビリティの向上など、さらなる業務改善に取り組む予定である。将来的には、サプライチェーン管理(SCM)をERPに統合し、データドリブン経営やAI活用による創薬などにもつなげる計画である。
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