[事例ニュース]
生方製作所、S/4HANA Cloudをパブリッククラウド運用に切り替えて基幹システムを刷新へ
2026年2月3日(火)IT Leaders編集部、日川 佳三
感震器やモータープロテクターを開発・製造する生方製作所(本社:名古屋市南区)は2026年2月3日、次期基幹システムの構築プロジェクトの概要を発表した。業務の標準化と効率化を進めて、既存の「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」からパブリッククラウド運用の「同 Public Edition」に移行する。移行プロジェクトを、単なるERPの再構築にとどまらないAI活用を見据えた基盤整備として位置づけて取り組むという。
愛知県名古屋市に本社を置く生方製作所は、感震器やモータープロテクター(過熱・過電流保護装置)などの安全デバイスを開発・製造するメーカー。世界シェア70%のモータープロテクターをはじめ技術力が高く評価され、海外売上比率が80%を超えるグローバル企業である。
同社は、2004年にSAPジャパンのERPアプリケーション「SAP R/3」を導入し、2020年にクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」に移行するなど、長年にわたってSAPを基幹システムとして運用してきた。アドオンに依存しない構成での運用だったが、アプリケーションをそのまま変換して移行するブラウンフィールド方式でバージョンアップを重ねる中で、業務の見直しや新たなビジネス価値創出を実現しにくい状況になっていたという。
こうした課題を踏まえ、既存環境を前提とした延長線上の対応ではなく、制度への対応や業務機能のアップデートの提供をクラウドサービスとして受けられる「S/4HANA Cloud Public Edition」(画面1)を採用し、基幹システムを抜本的に見直すことにした。
画面1:「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」の画面例(出典:SAPジャパン)拡大画像表示
同社 代表取締役社長の生方眞之介氏は、ERP刷新の狙いについて次のように説明する。「SAP ERPを導入してから20年以上が経ち、ERPは次第に業務を処理するための仕組みになっていた。そこで、システムを維持・更新すること自体を目的とするのではなく、業務の進め方そのものを見直し、将来に向けてRe-BPR(改めて経営改革し直す)する必要があると判断した」。
刷新プロジェクトでは、財務会計、管理会計、販売管理、生産管理、購買・在庫管理、品質管理といった基幹業務を対象に、Public Editionの標準機能とFit to Standardアプローチを活用し、業務の標準化と再設計を通じた経営基盤の強化を進める。これにより、業務ごとの個別対応に依存しない運用を目指し、経営管理や業務改善を継続的に進められる基盤を整える。
Public Editionは、製造業に必要な業務プロセスを標準機能で幅広くカバーするとともに、クラウドネイティブなアーキテクチャにより、将来の拠点追加やユーザー増加にも対応しやすい。
生方製作所は、まずはPublic Editionを活用し、標準機能を前提とした業務の標準化と効率化を進め、その後、既存環境との連続性を考慮しながら、段階的に旧環境からの移行を進めていく。
同社によると、今回の刷新プロジェクトを、単なるERPの再構築にとどまらず、AI活用を見据えた基盤整備として位置づけているという。S/4HANA Cloudを通じて業務データを一元管理することで、正確で信頼性の高いデータ基盤を構築し、将来的に予実管理や業績着地点の予測、原価管理の精緻化、現場業務の効率化など、AIを活用した意思決定や業務高度化に取り組んでいく予定である。
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