[事例ニュース]
通知表の所見も学級通信もCopilotで時短/品質向上─鹿児島市教育委員会の「校務DX」実践
2026年3月4日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三
学校の現場で、校務のあり方を見直す「次世代校務DX」の取り組みが急務になっている。鹿児島市教育委員会は、校務のデジタル化に生成AIアシスタント「Microsoft Copilot」を活用して大きな成果を挙げている。2026年3月2日に東京国際フォーラムで開催された「Windows AI Day」(主催:インプレス、特別協賛:日本マイクロソフト)に、同委員会の教育DX担当部長で、文部科学省 学校DX戦略アドバイザーを兼任する木田博氏が登壇。Copilotを活用した校務のロケーションフリー化や、教育活動の効率化・高度化に向けた実践例を紹介した。(聞き手は田口潤=インプレス 編集主幹)
学校の現場で、校務のあり方を見直す「次世代校務DX」の取り組みが急務になっている。2026年3月2日、東京国際フォーラムで開催した「Windows AI Day」(主催:インプレス、特別協賛:日本マイクロソフト)に、同委員会の教育DX担当部長で、文部科学省 学校DX戦略アドバイザーを兼任する木田博氏(写真1)が登壇。生成Aアシスタント「Microsoft Copilot(以下、Copilot)」を活用した、ロケーションフリーな校務環境の実現に向けた取り組みを紹介した。
写真1:鹿児島市教育委員会 教育DX担当部長の木田博氏。文部科学省 学校DX戦略アドバイザーを兼任する同氏は、国内の学校における「次世代校務DX」の推進に携わっている拡大画像表示
セッションの冒頭、木田氏は教育現場の現状について次のように説明した。「教員の仕事には、授業と校務の2つがあります。校務は授業以外のすべての業務を指し、成績処理、テストの採点、生活指導、教育委員会への各種報告など範囲は多岐にわたります。教員が抱える仕事量は増える一方です」。
木田氏によれば、GIGAスクール構想の推進でグループウェアや各種デジタルツールの整備は進んだものの、こなさなければならない業務の種類そのものが増えているという。「安全教育や国際理解教育といった新たな授業内容も加わり、一人ひとりの子供に丁寧に向き合う要請も高まっています」(同氏)。
さらに、教員には残業手当が支給されず、代わりに「教職調整額」として基本給の4%が支払われるにとどまっている現状がある。政府は段階的に教職調整額を引き上げ、最終的に10%にする計画を進めているが、根本的な解決には至っていない。こうした労働環境の厳しさが、人材離れや採用難にもつながっている。
ChatGPT登場から半年でCopilotの導入を決断
そうした中、鹿児島市教育委員会が生成AIの導入を検討し始めたのは、2022年11月に「ChatGPT」が公開されてからすぐのタイミングだった。木田氏は、「生成AIの開発スピードは日進月歩どころか『秒進分歩』と言えるほど速く、フェーズが変わったと直感しました」と振り返る。
その半年後となる2023年5月には、教職員向けにChatGPT研修会を開催した。その2カ月後に文部科学省が生成AIの利用ガイドラインを公開している。さらに同委員会は、2024年1月の校長研修会で「校務へのAI活用を進めましょう」と呼びかけた。2025年3月には児童・生徒向けのガイドラインと活用手引きを配布し、教員と生徒の双方に生成AIを活用する土台を整備してきた。
木田氏は、校務におけるCopilotの具体的な活用方法の1つとして、通知表への所見記入を挙げた。「一人ひとりの子供のがんばりを言語化する作業は、ノートやテスト結果を見返しながら行う丁寧な作業であり、教員が最も時間を費やす校務です」と木田氏は説明した。
活用のポイントは、「AIにゼロから書かせない」という考え方を徹底したことだ。鹿児島市では、教員が学期中の学習データや行動記録を校務システムに集約し、これをAIに読み込ませて所見の素案を作成するという手順をとっている。教員はAIが生成した素案を確認・修正することで、文面作成にかかる時間を大幅に短縮しつつ、生徒個々人のがんばりを汲み取った、より正確な所見記入を可能にしたという。
また、保護者向けに配布するプリント文書の作成にもCopilotを活用している。特に小学校低学年では、学級通信を週数回、場合によっては毎日発行することもある。「これまでは季節の挨拶や連絡事項など、定型的な文章の作成にも相当な時間を割いてきました。しかし現在では、Copilotに定型文の生成を任せることで、教員が本当に伝えたい内容の執筆に集中できる環境を整えています」と木田氏は強調した。
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