[調査・レポート]

自律型AIは人を不要にしない、収益性の改善には人材投資が有効─Gartner

2026年5月8日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

米Gartnerは2026年5月5日、AIエージェントなどの自律型ビジネス技術を導入した企業の約80%が人員を削減したが、人員削減は投資収益率(ROI)の向上につながっていないと発表した。同社が2025年第3四半期に世界350社の経営幹部を対象に実施した調査結果であり、収益改善には人員削減ではなく人材・スキル・業務モデルへの投資が有効だと指摘する。

 Gartnerは2025年第3四半期、世界中の経営幹部350人に対し、AIエージェントなど自律型ビジネス技術の現状について調査した。対象組織は、年間売上高10億ドル相当またはそれ以上で、AIエージェント、インテリジェントオートメーション、自律型テクノロジのうち少なくとも1つ以上を試験導入または既に展開している組織である。

 調査によると、自律型ビジネス技術を試験導入または本格展開している企業の約80%が人員削減を実施している。ただし、自律型技術から高い投資収益率(ROI)を得ている企業群と、低い成果または損失を経験している企業群とで人員削減率はほぼ同水準にあり、人員削減がROIの向上につながっていないことが分かった。

 ディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリストのヘレン・ポワトヴァン(Helen Poitevin)氏は「多くのCEOは、早期のAI効果を示すためにレイオフへと走るが、この考え方は誤っている。人員削減でコストは減るが、それだけでは利益は生まない。ROIを向上させる組織は、人材を不要にする組織ではなく、スキル・役割・業務モデルに投資して人を活かしている組織だ」と説明する。

 長期的な雇用への影響についても同社は楽観的な見通しを示す。AIエージェントソフトウェアへの支出額は2025年の864億ドルから2026年に2065億ドル、2027年には3763億ドルへと拡大すると予測している。また、自律型ビジネスは2028から2029年にかけて雇用を創出すると同社は指摘する。AIだけでは担えない新しい形の仕事が生まれることで、人材の必要性はむしろ増加するという。

 ポワトヴァン氏は「長期的には、自律型ビジネスは人間の仕事を増やすことになる。人口減少や信頼性が重視される消費者対応などにより、自律型ビジネスの運営、管理、拡大には引き続き人材が中心的な役割を果たす」と指摘する。

 ディレクターアナリストの林宏典氏は日本企業に向けて「日本企業が直面しているのは、人員削減の圧力よりもむしろ人材不足への対応だ」と指摘する。限られた人員体制で事業を維持・拡大するためには、従業員のAIスキル向上が重要になる。

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