[市場動向]
「データの蓄積と分析の両立」「LLMのオブザーバビリティが必要」─マツダとフリーが列指向DBを選んだ理由
2026年4月30日(木)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
大規模データのリアルタイムな分析処理(OLAP)に特化したオープンソースソフトウェア「ClickHouse」。開発元の米ClickHouse日本法人が2026年4月27日に説明会を開き、2026年1月に買収したLLMオブザーバビリティプラットフォーム「Langfuse」を含む同社製品の特徴や日本市場における戦略を説明した。また、国内ユーザーの先行事例として、マツダとフリー(freee)の担当者が登壇し、ClickHouse/Langfuseの活用例と成果を紹介した。
「ClickHouse」は、オープンソースソフトウェア(OSS)のカラムナ(Columnar:列指向)データベース/データウェアハウス(DWH)である。大規模データに対するリアルタイムな分析処理(OLAP)に強みを持ち、高速なクエリ性能や高いデータ圧縮効率を特徴とする。もともとはクリックストリームデータ(注1)の高速な分析を目的に開発され、2016年にOSSとして公開された。
注1:クリックストリームデータ(Clickstream Data)は、Webサイトやアプリでユーザーがクリックしたボタン、閲覧ページ、滞在時間などの行動履歴を時系列に記録したデータのこと。リアルタイムで同データを分析することで、顧客体験(CX)の改善やパーソナライズドマーケティング、コンバージョン(購買転換率)の向上を図ることができる。
現在は2021年設立の米ClickHouseが開発を主導しており、2022年からはマネージドサービスの「ClickHouse Cloud」を提供している。現時点で導入企業数は3000社に達し、年間経常収益(ARR)は前年比250%というペースで伸長しているという。
ユーザーには、マイクロソフトやNVIDIA、メタ、ウォルマート、ブルームバーグなどの米国大手をはじめ、各業界のグローバル企業が名を連ねる。国内ではマツダ、楽天、フリー、さくらインターネットなどが利用している(図1)。
図1:グローバル/国内の主要なClickHouseユーザー(出典:ClickHouse)拡大画像表示
AIの社会実装が進む中、データ基盤に求められる要件が変化している。AIの能力を生かすには、即時の判断およびアクションを支える鮮度の高いデータを、必要なタイミングで供給できる仕組みが求められる。人間が過去のデータを参照し、打ち手を検討する従来型のデータ基盤では、対応しきれない局面が増えていくと想定される。
日本法人の代表取締役社長を務める金古毅氏(写真1)は、こうしたAI時代のデータ活用ニーズへの対応を強く訴求した。「ClickHouseは単なるデータベースではない。データを記録から動力に変え、日本企業の意思決定を加速するためのエンジンと位置づけている」と述べた。
日本進出の背景として、(1)米国に次ぐ世界最大級のエンタープライズIT市場であること、(2)現場に大規模かつ高品質なデータがあること、(3)AI活用が実装フェーズを迎え、インフラ投資が進んできていることを挙げた。
写真1:ClickHouse 代表取締役社長の金古毅氏CEO(最高経営責任者)を務めるアーロン・カッツ(Aaron Katz)氏(写真2)は、米セールスフォース(Salesforce)でアジア太平洋地域のビジネス拡大を担った経験から、「適切なチームと製品をもって早期に投資すれば、日本は先進的なテクノロジーの導入で世界をリードできる。3年から5年後には、日本が世界トップ3の市場の1つになるだろう」と語った。
写真2:米ClickHouse CEOのアーロン・カッツ氏●Next:ClickHouseのアーキテクチャとグローバル先進ユーザーの事例
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