[調査・レポート]
1社あたりの平均損失は約480億円、急増する新たなダウンタイムリスクにどう対応するか?─Splunk調査
2026年6月11日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)
米Splunk(スプランク)の日本法人Splunk Services Japanは2026年6月9日、説明会を開き、調査レポート「ダウンタイムの隠れたコスト 2026(The Hidden Costs of Downtime 2026)」の結果を紹介した。レポートでは、世界主要20カ国の企業のダウンタイムによる年間総コストが約96兆円に達し、過去2年で50%急増した実態が浮き彫りになった。人的ミスやサイバー攻撃の高度化、AI導入に伴う新たなダウンタイムリスクにどう対応するか。同社はレポートを踏まえ、デジタルレジリエンス構築に向けた4つの戦略を提言した。
ダウンタイムの危機と経済損失
システム停止(ダウンタイム)は単なるIT部門におけるテクニカルな問題にとどまらず、企業の存続を揺るがす最大のビジネスリスクへと変貌している。Splunkが発表した調査レポート「ダウンタイムの隠れたコスト 2026」では、その経済損失と企業が直面している深刻な実態が浮き彫りになった。
同調査は、フォーブス・グローバル2000企業の経営幹部2000人を対象に、オックスフォード・エコノミクスの協力のもと実施されたものだ。日本を含むアジア太平洋、EMEA、北米など20カ国の、IT、財務、マーケティングなどさまざまな部門の経営層を対象としている。
調査結果によると、Global 2000企業におけるダウンタイムの年間総コストは6000億米ドル(約96兆円)に達し、過去2年間で50%も増加している。また、1社あたりの平均損失は年間3億米ドル(約480億円)に及ぶ。
こうした背景から、テクノロジーリーダーの79%が過去12カ月間でダウンタイムに対する優先度を上げたと回答している。その要因として、「サービスの常時稼働に対する顧客の期待の高さ」(74%)や、「インシデントコストの上昇」(65%)が上位に挙げられている。
収益損失と法規制がもたらすコスト
ダウンタイムが企業に与えるダメージは、収益の損失だけにとどまらない。今回の調査では、特に「収益損失の倍増」「規約違反の罰金」「ランサムウェア攻撃の身代金」など、直接的なコストの増大が顕著に現れた(図1)。
図1:直接的なダウンタイムコストが激増(出典:Splunk Services Japan)拡大画像表示
これらの背景には、欧州のGDPR(一般データ保護規則)や金融機関を対象としたDORA(デジタル・オペレーショナル・レジリエンス法)など、世界的な法規制の厳格化がある。システム停止が巨額の制裁金に直結するケースが増えているわけだ。Splunk Services Japan オブザーバビリティアドバイザーの末永真理氏(写真1)は、「コンプライアンス違反が経営に与える影響が以前にも増して大きくなっている」と警鐘を鳴らす。
Splunk Services Japan オブザーバビリティアドバイザー 末永真理氏また、ランサムウェア攻撃については、財務幹部の62%が「身の代金を支払うべきではない」と考えているものの、実際には40%の企業が支払いに応じてしまっているという実態も明らかになった。「攻撃者が標的組織の具体的なダウンタイムコストを試算し、身代金金額を設定しているという状況も、身代金を支払ってしまう結果につながっている」(末永氏)
従業員の疲弊と「人」へ及ぶ深刻な二次被害
調査からは、ダウンタイムがもたらす組織や従業員への悪影響も見えている。例えば、システムが停止した際、カスタマーサポートへの問い合わせが急増したと回答したリーダーは90%に達している。
レジリエンスはIT運用の課題だけではなく、大きな経営的なリスク要因になっている。 例えば、インシデントの修復後、ブランドイメージが回復するまでにかかる時間について、マーケティング部門幹部の20%は「1四半期(3カ月)かかる」と回答。ダウンタイム発生後の株価の平均下落率も、2024年の2.5%から、2026年は3.4%と大きくなっている。
●Next:人的ミス、サイバー攻撃、AIが引き起こすダウンタイム、レジリエンス構築のための4つの戦略
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