[調査・レポート]

自治体ネットワークに変化の兆し、α'モデル採用が前年比2倍超に─A10調査

クラウドサービス活用が進むが、慎重派も6割

2026年7月23日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

A10ネットワークスは2026年7月22日、全国600自治体を対象に実施したネットワーク環境に関する調査の結果を発表した。ネットワークモデルは分離型の「αモデル」が75%を占めている一方、SaaSへのローカルブレイクアウトを組み合わせた「α'モデル」が前年の6%から14%へと増加している。また、クラウドサービスの導入状況は前年より活用が進むが、59%は未導入・検討中と回答している。

 A10ネットワークスは2026年6月、全国47都道府県の600自治体を対象に、自治体のネットワーク環境に関する調査を実施した。各自治体が採用しているネットワーク分離モデルの種類、クラウドサービスの利用状況に加えて、生成AIの活用実態を調べている。

 総務省は、自治体の情報セキュリティ強化と業務効率化を目的に、自治体のネットワークを以下の3層に分離する「α(アルファ)モデル」を提示している。

  • マイナンバー利用事務系:マイナンバー関連システム/端末を配置
  • LGWAN接続系:主要な業務システム/端末を配置
  • インターネット接続系:インターネットアクセス端末を配置

 αモデルは、インターネット経由のマルウェア感染などを効果的に防ぐ一方、クラウドサービスの利用やWeb会議、外部とのファイル共有などで手間がかかる課題を抱えている。

 この状況を受けて現在は、αモデルのセキュリティを維持しつつ、限定された条件で安全にクラウドへの接続を許可する「α'(アルファダッシュ)モデル」への移行が推進されている。SaaSへのローカルブレイクアウトを組み合わせることでWeb会議やファイル共有などの利便性を高めることができる。

 さらに総務省は、業務システムをLGWAN接続系に残したまま、業務端末をインターネット接続系に配置して利便性を高める「β(ベータ)モデル」や、マイナンバー系システムを除くすべての業務システムをインターネット接続系に移す「β'(ベータダッシュ)モデル」を提示している。両モデルとも、業務端末からインターネットを利用することから、マルウェア対策やEDRなどのエンドポイントセキュリティが必要になる。

 A10ネットワークスの調査ではまず、全国の自治体に現在のネットワーク環境について尋ねている。回答を見ると75%がαモデルを採用していた。一方、α'モデルの採用率も前年の6%から14%へと増えている(図1)。同社はこの結果から、「自治体ネットワークが新たなフェーズへと移行しつつある」と見ている。

図1:全国600自治体が採用しているネットワーク分離モデル(出典:A10ネットワークス)
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 また、現在αモデルまたはその他の環境を利用している自治体に対してα'モデルへの関心について尋ねたところ、46%が「興味あり」と回答した。前年の47%とほぼ同水準で推移しており、関心が継続している。「ネットワークの更改に合わせてα'モデルへの移行を検討する動きが広がりつつある」(同社)。

●Next:自治体のクラウドサービス、生成AIの導入状況は?

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