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トヨタ自動車、Excel手入力だった経理処理をローコード開発でデジタル化

2026年9月4日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

トヨタ自動車(本社:愛知県豊田市)のカスタマーファースト推進本部は、年間1万件超の経理処理を電子化した。業務フローベースでの処理ステップ数は、従来の最大57ステップから31ステップへと約46%減った。クラウド型ローコード開発基盤「Accel-Mart Plus」を提供したNTTデータ イントラマートが2026年9月4日に発表した。

 トヨタ自動車のカスタマーファースト推進本部(CF本部)は、トヨタ車のユーザーに対し、品質保証対応、認証試験業務、アフターセールスの体制整備など、安全と品質を担保する業務を網羅的に担っている。

 CF本部では、日常的な物品やサービスの購入にともない、年間1万件以上の経理処理が発生している。従来は、見積もり、企画、決裁、発注、検収、支払いといった一連のプロセスのほとんどがアナログで、個別にExcelファイルを作成・回付して処理していた。

 見積書を基にExcelで企画の決裁書を作って回付し、印影の画像を貼り付けて決裁するという、ほぼ紙と変わらない運用だった。さらに、決裁書を見ながら担当者が手動で発注書用Excelファイルを作成して発注し、納品時には検収書用Excelファイルを作成するというように、プロセスが進むごとにファイルを都度作成し、手動でデータを転記していた。

 また、起案者や決裁権者ごとに経理処理に必要な手順や規則に対する知識にばらつきがあり、後工程で手戻りが発生するケースが少なくなかった。ルールを明文化した共通マニュアルを整備するとともに、電帳法などの法規制に則って処理を進めることの重要性や意義を浸透させる教育や啓発に取り組んだものの、問題の根本解決には至らなかった。

図1:トヨタ自動車のカスタマーファースト推進本部が構築した経理処理システムの概要(出典:NTTデータ イントラマート)
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 2024年10月に改善プロジェクトを開始した。まずは業務フロー図を作成し、経理プロセス全体を可視化するとともに、あるべきプロセスを一から整理した。その後、クラウド型のローコード開発・実行基盤「Accel-Mart Plus」を採用し、2025年7月に開発をスタート、2026年6月に稼働させた(図1)。

 開発にあたっては、手戻りを最小化するため、業務フローと画面モックアップを事前に作成する方針を徹底した。「どの画面で、誰が、何を、なぜチェックするのか」や「どの情報を後続画面に引き継ぐか」を事前に細かく議論・定義したことで、後工程での認識の齟齬を抑え、手戻りの少ない開発を実現した。

 中長期にわたって持続的に改善・保守できる体制も整えた。完全内製化も選択肢の一つだったが、保守の属人化や人事異動によるシステム仕様のブラックボックス化を避けるため、開発パートナーを利用した。トヨタ自動車がプロジェクト管理、業務要件、UI/UX、実務面の意思決定を担い、開発パートナーがシステム設計とバックエンド実装を担当した。

 新システムは、CF本部の約2000人が利用している。導入の結果、業務フローベースでの処理ステップ数は、従来の最大57ステップから31ステップへと約46%減った。作業時間の短縮も見込んでいる。

 業務を効率化できた要因には、システムが自動で入力チェックを実行する仕組みを実装し、人が目視で行っていた入力内容や処理手順のチェックを廃止できたことや、データの自動引き継ぎによって手動での転記が不要になったことなどがある。

 電帳法に準拠した文書管理システムに証憑データを自動で連携・保管する仕組みも構築した。これにより、それまで個別に行っていた見積書や発注書のアップロード作業、社内共有用のSharePointへの二重保管、決裁権者による保管確認といった作業も廃止できた。

 内部統制も強化した。トヨタ自動車は米国市場に上場しており、新たな経理処理システムは後続の会計システムにデータが流れることから「米国SOX法」の監査対象になる。これに対して、コードを修正・デプロイする時の承認フローを厳密に定義したり、追跡調査が可能な仕様でログを出力したり、日々の死活監視プロセスを定義したりして、米国SOX法の監査基準をクリアした。

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