[ユーザー事例]

「自前主義」を支えるSaaS活用、ニトリHDが引いた「作る」と「任せる」の境界線

SAPを採用したEC刷新プロジェクトの全容

2026年8月28日(金)森 英信(アンジー 代表取締役)

ニトリホールディングス(本社:北海道札幌市)は1996年から自社でシステムを作り続け、現在は350名体制の強力な内製開発組織を有する。ただし、同社はすべてを自前で構築するわけではなく、「顧客体験」と「スピード」を基準に外部ツールを適材適所で活用するハイブリッド戦略をとっている。その一環として、EC刷新ではモバイルファーストな体験設計を実現するための最適な選択肢として「SAP Commerce Cloud」を採用。店舗受取り比率の目標を前倒しで達成するなど、確かな成果を上げている。2026年7月29日、SAPジャパン主催のコンファレンス「SAP NOW AI Tour Tokyo 2026」に登壇した同社 デジタルコマースグループの内藤隆太郎氏と土山貴史氏が、内製と外部サービスの境界線や、その後の継続的なEC最適化の歩みを明かした。

1069店舗を支える350名の内製組織

 家具・インテリア用品店「ニトリ」、インテリア雑貨店「デコホーム」、女性向けアパレルブランド「N+(Nプラス)」を展開するニトリグループ。海外を含む店舗数は2026年3月期で1069店舗、36期連続の増収増益を果たし、2032年に売上高3兆円達成のビジョンを掲げる。

 講演でニトリホールディングス 情報システム改革室 デジタルコマースグループ シニアマネージャーの内藤隆太郎氏(写真1)がまず語ったのが、この事業を支えるITが外注の産物ではないという前提だ。

写真1:ニトリホールディングス 情報システム改革室 デジタルコマースグループ シニアマネージャー 内藤隆太郎氏

 ニトリの原点となる似鳥家具卸センター北支店が札幌市北区にオープンしたのは1968年。その後1972年に法人化し、内製によるシステム開発は1996年に開始した。当時4名だった情報システム部門は2025年時点で350名に達した(図1)。内藤氏が所属するデジタルコマースグループは、このうち約60名である。

図1:ニトリグループの価値創造の歩みとITの進化(出典:ニトリホールディングス)
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 「内製の強みは開発スピードにある」と内藤氏は語る。同社の特定案件の実績データでは、外部委託と比較した開発工数を約34%削減できたという。「業務内容を理解している社員が主体となるため、要件定義や設計判断が早い」(内藤氏)といい、購買分析・発注計画といった商品供給業務の80%自動化と、AIによる問い合わせの80%自動解決を目指すとの目標も掲げる。

 運用面では、ヘルプデスク、ネットワーク・セキュリティ・RDB(リレーショナルデータベース)の有識者によるシステム基盤チーム、領域別の開発部隊、セキュリティ部門の4者が連携する相互支援体制を国内外のグループ全体に敷き、札幌には統合保守運用の拠点も構える。人材の確保では、2022年6月にIT子会社のニトリデジタルベースを、2024年5月にはベトナムに新会社を設立した(関連記事強みの内製開発を加速させ、社内IT人材1000人を目指す─ニトリ、新IT拠点「ニトリデジタルベース」を設立)。

●Next:内製と外部クラウド活用の線はどこで引くのか? EC刷新で直面した課題と解決策

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「自前主義」を支えるSaaS活用、ニトリHDが引いた「作る」と「任せる」の境界線ニトリホールディングス(本社:北海道札幌市)は1996年から自社でシステムを作り続け、現在は350名体制の強力な内製開発組織を有する。ただし、同社はすべてを自前で構築するわけではなく、「顧客体験」と「スピード」を基準に外部ツールを適材適所で活用するハイブリッド戦略をとっている。その一環として、EC刷新ではモバイルファーストな体験設計を実現するための最適な選択肢として「SAP Commerce Cloud」を採用。店舗受取り比率の目標を前倒しで達成するなど、確かな成果を上げている。2026年7月29日、SAPジャパン主催のコンファレンス「SAP NOW AI Tour Tokyo 2026」に登壇した同社 デジタルコマースグループの内藤隆太郎氏と土山貴史氏が、内製と外部サービスの境界線や、その後の継続的なEC最適化の歩みを明かした。

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