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[新製品・サービス]

KDDI、人流データで商業施設開発を支援する「KDDI Market Compass」を提供

業界ごとの実践知を組み込んだ業界特化型のAIサービスを順次展開へ

2026年8月21日(金)IT Leaders編集部、日川 佳三

KDDIは2026年8月20日、商業施設開発の市場調査・分析・戦略立案を支援するAIサービス「KDDI Market Compass」の提供を開始した。位置情報データと生成AIを組み合わせ、JR西日本SC開発が商業施設開発の現場で培った調査手法と評価基準を反映させ、月額制のSaaSとして提供する。同サービスを第1弾として、今後、業界ごとの実践知を組み込んだ業界特化型のAIサービスを順次展開していく。販売目標は3年間の累計で、数百ID、10億円。

 KDDIの「KDDI Market Compass」(図1)は、商業施設開発の市場調査・分析・戦略立案を支援するAIサービスである。位置情報データと生成AIを組み合わせて、JR西日本SC開発が商業施設開発の現場で培った調査手法と評価基準を反映させており、月額制のSaaSとして提供する。

図1:「KDDI Market Compass」の概要(出典:KDDI)
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 JR西日本SC開発は、JR西日本グループの商業施設セグメントを統括している。大阪駅直結の旗艦施設「ルクア大阪」を運営するほか、新規商業施設の開発も手がける。2024年に開業させた「バルチカ03」(JR大阪駅西口改札直結)の開発では、独自に確立した9段階のマーケティングプロセスを実践している。

 9段階のマーケティングプロセスは最初から順に、(1)開発条件整理・商圏設定、(2)競合設定、(3)仮説構築(N=1デプスインタビューなど)、(4)WEBアンケート(ヒートマップ、クラスタ分析など)、(5)3C・SWOT分析、(6)競争地位戦略の設定、(7)ターゲティング、(8)グループインタビュー、(9)提供価値の明確化、という手順を踏む図2)。

図2:JR西日本SC開発が確立した9段階のマーケティングプロセス(出典:JR西日本SC開発)
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 JR西日本SC開発で執行役員カンパニー統括本部副統括本部長兼経営戦略部長の舟本恵氏によると、バルチカ03の事例では、この一連のプロセスに4カ月以上を要した。「生活者ニーズの変化が加速する中、調査・分析だけに4カ月を費やすことが事業上のネックになっていた」という。

 KDDI Market Compassは、この9段階のプロセスをシステムに移植して自動化したもの。利用者が開発予定地点やエリアを指定すると、AIが4段階で分析を実行する(図3)。

図3:商業施設開発向けAIが実行する4段階の市場分析(出典:KDDI)
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 第1段階の商圏調査・分析では、KDDIの人流データや公開データをもとに、商圏特性を分析する。第2段階の競合調査・分析では、対象エリアや業態に応じて競合施設を自動で抽出・判定する。第3段階の顧客ニーズ分析では、商圏内の顧客ニーズをライフスタイル・性別・年代ごとに分類する。第4段階の戦略立案では、分析結果を踏まえ、施設コンセプトやターゲット設定、テナント戦略などの戦略仮説を提示する。

 戦略立案の過程では、商圏データから想定するペルソナ(生活者・来街者像)をAIが100人分生成し、それぞれへの仮想インタビューを実施する機能を備える。インタビュー内容は議事録形式で可視化し、定量データだけでは把握しにくい潜在ニーズや行動特性の把握が可能である。子育て世帯の来街比率が高い場合はファミリー向けテナントの拡充、駅利用者の滞在時間延伸には飲食・体験型施設の導入が有効、といった具体的な示唆を提示する。

 分析の基盤となる位置情報データは、スマートフォン利用者の許諾を得て取得した位置情報を、個人を特定できないように統計的に加工したものという。数分間隔・最小10mメッシュの粒度で24時間365日データを取得し、常に最新3日前までの情報に更新する。徒歩か自動車かといった移動手段や、道路単位の通行量・進行方向も把握できる。これに通信サービスの契約情報に基づく性別・年代などの属性データを組み合わせ、人流の実態を多角的に分析する。

 KDDIとJR西日本SC開発による実証実験では、新規商業施設開発を想定した調査・分析・戦略立案業務について、バルチカ03の開発時に4カ月以上を要した検討プロセスを最短1日で実施できることを確認した。同等規模の市場調査を外部委託した場合との比較試算では、コストを約60%削減できるとの結果も得た。分析プロセスをシステムで標準化することで、担当者による品質のばらつきを抑える効果も見込む。

 KDDIは商業施設開発のためのKDDI Market Compassを端緒に、今後、業界ごとの実践知を組み込んだ業界特化型のAIサービスを順次展開していく。小売業向け(顧客ニーズ分析・個店ごとの売場づくり支援)、物流業向け(物流データ分析・業務効率化に向けた全体最適支援)のサービスなどを予定している(図4)。

図4:業界ごとの実践知を組み込んで展開する業界特化型AIサービスの概要(出典:KDDI)
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