[インタビュー]
世界情勢の変化や地政学リスクに備える「ベストショア」構想、ベトナム・FPTが築く独自の人材育成と供給体制
2026年10月5日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)
従来、コスト削減や人的リソース確保の手段として捉えられてきたオフショア開発。だがベトナム最大級のICT企業であるFPTグループは、その役割を単なる開発のアウトソーシングにとどまらず、最先端のテクノロジーの導入やビジネス変革を支える戦略的パートナーへと広げようとしている。自社運営の大学を基盤とした「教育エコシステム」による人材供給や、国内外の拠点を組み合わせる「ベストショアモデル」、NVIDIAと提携したAI開発など、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に向け、独自のアプローチを本格化させている。日本のIT課題にどう立ち向かっているのか。FPTジャパンホールディングス 取締役会長の谷原徹氏に聞いた。
オフショア開発拠点から「戦略的DXパートナー」へ
FPTグループは、テクノロジー、テレコム、教育事業を中心としたベトナム最大級のデジタルコングロマリット企業群だ。デジタルコングロマリットとはAIやビッグデータ、クラウドなどのデジタル技術やネットワークを基盤に、異業種の多様な事業やサービスを統合・展開する巨大企業グループを指す。同社グループはこれらのネットワークをもとに、グローバルで事業を展開している。
テクノロジー領域の中核を担うのがFPTソフトウェアだ。国内外の顧客に対する ソフトウェア開発やシステムインテグレーション、運用保守などのITアウトソーシングのほか、近年はAI、クラウド、車載ソフトといった最先端分野にも注力。世界30カ国以上で90以上の拠点を展開している。日本における売上高は年平均27%と急成長を続けており、売上の4割を占める。日本市場では長年、コストや要員供給力のニーズに応えるオフショア開発が中心だったが、現在はAIを導入した企業の全体最適化を支援するプロジェクトも増えつつあるという(関連記事:日本のソフトウェア会社はベトナムに勝てない─その決定的な理由)。
SCSKの代表取締役社長などを歴任したのち、2023年4月にFPTジャパンホールディングス 取締役会長に就任した谷原徹氏(写真1)は、同社の立ち位置を次のように説明する。
「FPTジャパンはソフトウェア開発やSIがメインと思われがちですが、現在はコンサルから運用BPOまでを担う戦略パートナーへ進化しつつあります。事業の主な戦略分野はGADAS(Green Transformation、AI、Digital Transformation、Automotive、Semiconductor)。今はそれに加えてベトナムと日本で連携し、低空域経済と呼ばれる、ドローンや空飛ぶ車の制御といったITとOTを融合したサービスの開発や、ベトナム政府の要請を受けて、半導体の検証工場の立ち上げなどにも携わっています」
写真1:FPTジャパンホールディングス 取締役会長 谷原徹氏●Next:オフショア開発の課題を解消する教育体制とベストショアモデル
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