「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、CIO賢人倶楽部 会長 木内里美氏によるオピニオンである。
2023年6月にベトナムのソフトウェア会社の開発センターを訪問する機会がありました。そこで衝撃を受け、痛感したのがこの記事のタイトルです。
訪問の経緯はこうでした。日本メーカーの駐在員としてベトナム法人の代表をしている古くからの友人がおり、その仲間たちとベトナム訪問の話が持ち上がり、コロナ禍が下火になったこともあって急遽ベトナム行きを決めました。友人がいるホーチミンへの訪問だけだともったいないので、ダナンに行くことを提案しました。
ダナンは南北に長いベトナムの中部にあり、すでに雨季に入っているホーチミンより雨季に入るのが遅れるので、まだ乾季でした。7kmに及ぶ美しい海岸線は世界一のビーチとも言われ、世界有数のリゾート地でもあります。ダナンの近くにはベトナム最後のグエン王朝があったフエや、長崎の出島のような港町であるホイアンなど世界遺産の観光地もあります。
駐在員を訪問するとはいえ、もともと観光目的の旅でしたが、出発の3日前にたまたま訪問した会社の社長から、「ダナンに行くなら、FPTソフトウェアを紹介するので訪問してみてはどうか」と提案をいただきました。観光に加えて視察もできる──。一も二もなく訪問をお願いし、翌日にはFPTジャパンからOKの連絡をいただいて、訪問日程が決まりました。何ともラッキーなご縁です。
羽田からホーチミン経由でダナンに向かい、当日はホイアン観光をしました。古都ホイアンの旧市街ではトゥボン川沿いにランタンが並び、郷愁をそそるノスタルジックで心地良い風景を堪能しました(写真1)。
翌日が、ホテルから車で20分ほどのところにあるFPTコンプレックスダナンビルの訪問でした。FPTソフトウェアの開発拠点です。ビルはまだ建設中で2025年に完成すると、米クパティーノにあるアップル本社のような円形の構造物になり、1万人の社員が勤務する拠点になるそうです。当然、水や電気の負荷を低減する最新のエコビルです(写真2)。
FPTコーポレーションの前身は、1988年創業の食品加工技術会社(The Food Processing Technology Company)で、1990年に技術開発への投資会社になり、現在は従業員4万2400人を擁する大企業です。FPTソフトウェアはグループ会社として1990年に設立されたベトナム最大級のIT企業で、2万6500人の従業員が在籍しているそうです。
その開発センターが今回の訪問先でした。急な訪問にもかかわらず、入口には私たちのためのウェルカムメッセージボードがあり、1時間ほどのプレゼンテーションに加えて1時間ほどのオフィスツアー、施設内のカフェでのランチなど、心のこもったおもてなしをいただきました。
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