CIOが「変革の旗手」となるためのロードマップ─改めてCIOの役割を考える[後編]
2025年10月9日(木)CIO賢人倶楽部
「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、イノベイトラボ 代表 矢澤篤志氏からのオピニオンの後編である。(前編はこちら)

前編で見てきたように、「全体最適化」と「個別最適」のジレンマを乗り越えて企業の未来を切り拓くためには、CIO自身の役割のアップデートが不可欠です。後編では、前編で紹介した「目指すべきCIOの役割定義」の骨子を参照しつつ、多くの日本企業が直面している課題を踏まえたCIOの責務を考察します(図1)。

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米国の産業界においては一般に、CEOが成長戦略の中心の1つにIT/デジタルを据え、CIOを右腕として戦略立案・実行に参画させるという歴史的な関係性があります。この関係の延長上で多くのCIOが、「企業グループ全体のIT活用を俯瞰し、業務・情報システムの構造と共にIT部門の機能と役割を変革し、企業の“全体最適化”実現に貢献する」という役割を果たしていると言われます。
一方、日本企業においては一般にCEOのIT/デジタルへの関心は高いとは言えません。オーナー企業や外部から変革者として招聘されたCEOなどを除くと、内部昇格のCEOが多いのでトップダウン型の変革が難しい現実もあります。そんなCEOのもとで、さらに強いボトムアップ文化やサイロ化した組織構造の中で、CIOが米国型の役割を担うことは容易ではありません。
しかしながら、今やIT/デジタルは企業の競争力を左右する「武器」です。加えて、目指すべきCIOの役割で定義した「Chief Intelligence Officer」や「Chief Innovation Officer」といった役割は今、かつてないほど強く求められています。この期待に応え、あるべきCIOの役割を担う最初の一歩として、私は2つのテーマの推進を提言します。
●Next:CIOが「変革の旗手」となるためのカギは「組織作り」と「ガバナンスの再定義」
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