[事例ニュース]
食料品卸の神明HD、青果卸売市場の分荷業務にAIを導入、9割が修正不要で作業時間を半減
2026年1月8日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
食料品卸の神明ホールディングス(本社:兵庫県神戸市)が、グループ内の青果卸売会社において、青果物の分荷(仕分け)業務を自動化するAIサービスの導入を決定した。NTT AI-CIXの「分荷自動化サービス」を採用し、グループ内の青果卸売会社に2026年から順次導入する。東京シティ青果での実証実験では分荷作業時間を50%以上削減する効果を確認したという。NTT AI-CIXが2026年1月8日に発表した。
兵庫県神戸市に本社がある神明ホールディングスは、米穀卸を祖業とし、「日本の食を守る」ことを使命に掲げて、米・青果・水産物・小麦など幅広い食材の生産から加工、流通、中食・外食事業までを手がける「アグリフードバリューチェーン」を展開する。グループ会社に、ユキグニファクトリー(2025年4月に雪国まいたけから社名変更)やGenki Global Dining Concepts(2024年8月に元気寿司から社名変更)などがあり、AIを活用した業務効率化にも取り組んでいる。
同社グループが運営する青果卸売市場では、市場に集まった荷物をスーパーや小売店などの注文に応じて仕分ける「分荷業務」を行っている。同業務においてはこれまで、電話やファクス、手書きといったアナログな手法が中心で、担当者個人の経験や勘(暗黙知)に依存した属人化が課題となっていた。「現場では長時間労働や作業ミスが発生しやすく、経営面でも次世代へのノウハウ継承や生産性向上が急務だった」(同社)という。
そこで神明HDは、こうした課題を解決し、業務の効率化と標準化を図る手段として、NTT AI-CIX(エーアイシックス)が開発した「分荷自動化サービス」の導入を決定した。分荷自動化サービスは、営業担当者が持つ「注文者の要望」や「品目の特性」といったノウハウをAIに学習させ、入荷や注文状況に応じた最適な分荷案を自動生成するシステム。生成された分荷案を人間が修正した場合、その結果を再学習することで、使えば使うほど精度が向上する仕組みを備えている。
図1:青果物卸売市場の分荷業務をAIで自動化する仕組み(出典:NTT AI-CIX)拡大画像表示
本格導入に先立ち、東京シティ青果において、AIを活用して分荷業務を自動化する実証実験を行った。営業担当者が持つ、注文者の要望や品目の特性といった情報とノウハウをAIに学習させ、これらを考慮した分荷案をAIで自動生成し、精度を検証した(図1)。
実証実験では、AIが生成した分荷案が営業担当者の判断と9割以上一致する精度を記録。導入効果として、毎日ゼロから作成していた分荷案の作成工数が大幅に減少し、分荷作業時間を50%以上削減した。新しい品目での利用や、産地リレーが発生する場合においても簡単な設定とAIによる履歴学習だけで、早期に高い精度が得られたという(図3)。
AIの活用により、産地や買参人とのコミュニケーション時間を確保できるようになったほか、担当者不在時でも代行者が業務を行いやすくなるなど、属人化からの脱却にも寄与している。
図2:分荷業務をAIで自動化した効果(出典:NTT AI-CIX)
図3:属人的業務から脱却した組織的な業務継続を実現(出典:NTT AI-CIX)拡大画像表示
神明HDの業務変革を支援するNTT AI-CIXは、NTTが2024年8月に設立したITベンダー。「連鎖型AI」という独自技術を用いて、複数のAIを連携させてサプライチェーン全体の最適化など、業務や業界を横断したAI活用による産業変革(AI-Cross Industry Transformation)を目指している。
神明HD 代表取締役社長の藤尾益雄氏は、「今回、AIを活用した分荷業務の自動化に成功したことは大きな前進。中長期的には、作業負荷の軽減だけでなく、需給情報を活用したサプライチェーン全体の最適化に寄与すると確信している」とコメントしている。今後は、2026年より神明グループの青果卸売会社へ同サービスを順次展開していく予定である。
- 業務システム 2027年4月強制適用へ待ったなし、施行迫る「新リース会計基準」対応の勘所【IT Leaders特別編集版】
- 生成AI/AIエージェント 成否のカギは「データ基盤」に─生成AI時代のデータマネジメント【IT Leaders特別編集号】
- フィジカルAI AI/ロボット─Society 5.0に向けた社会実装が広がる【DIGITAL X/IT Leaders特別編集号】
- メールセキュリティ 導入のみならず運用時の“ポリシー上げ”が肝心[DMARC導入&運用の極意]【IT Leaders特別編集号】
- ゼロトラスト戦略 ランサムウェア、AI詐欺…最新脅威に抗するデジタル免疫力を![前提のゼロトラスト、不断のサイバーハイジーン]【IT Leaders特別編集号】
-
VDIの導入コストを抑制! コストコンシャスなエンタープライズクラスの仮想デスクトップ「Parallels RAS」とは
-
AI時代の“基幹インフラ”へ──NEC・NOT A HOTEL・DeNAが語るZoomを核にしたコミュニケーション変革とAI活用法
-
加速するZoomの進化、エージェント型AIでコミュニケーションの全領域を変革─「Zoom主催リアルイベント Zoomtopia On the Road Japan」レポート
-
14年ぶりに到来したチャンスをどう活かす?企業価値向上とセキュリティ強化・運用効率化をもたらす自社だけの“ドメイン”とは
-
-
-
-
生成AIからAgentic AIへ―HCLSoftware CRO Rajiv Shesh氏に聞く、企業価値創造の課題に応える「X-D-Oフレームワーク」
-
-
-
「プラグアンドゲイン・アプローチ」がプロセス変革のゲームチェンジャー。業務プロセスの持続的な改善を後押しする「SAP Signavio」
-
BPMとプロセスマイニングで継続的なプロセス改善を行う仕組みを構築、NTTデータ イントラマートがすすめる変革のアプローチ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-



