[市場動向]

富士通、AIサーバーを国内工場で製造、重要インフラ向けにソブリン性を確保

NVIDIA最新GPUや「FUJITSU-MONAKA」搭載モデルを提供へ

2026年2月12日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

富士通は2026年2月12日、データの主権管理(ソブリン性)とセキュリティを強化したAIサーバーを国内工場で製造すると発表した。同年3月よりNVIDIA製GPU搭載モデルの製造を開始し、同年度中には自社開発の省電力Armプロセッサ「FUJITSU-MONAKA」を搭載したモデルの製造も始める。スーパーコンピューター「富岳」の製造拠点で基板から装置組立までを一貫して行う“Made in Japan”製品として、重要インフラ事業者や官公庁などの需要に応える。

 今回、富士通がグループ連携(富士通、エフサステクノロジーズ、富士通ITプロダクツ)で国内製造を開始するのは、経済安全保障やデータ主権(ソブリン性)への対応を強化したAIサーバーである。

 取り組みの背景として、昨今の地政学的リスクやサイバー脅威の増大、各国での法規制強化を受け、重要インフラ企業や官公庁などにおいて、経済安全保障とリスク対応の観点からソブリン性や高度なセキュリティへの需要が高まっていることを挙げる。

 「これらの組織のITインフラにおいては、データ流出リスクの最小化、自律的な運用、国内法への準拠、セキュリティリスクの透明性確保、テクノロジーのコントロールなどが重要である」(同社)。特に、ハードウェアの製造プロセスにおける透明性の確保は喫緊の課題となっている。

 こうした動きの中で富士通は、主要部品のトレーサビリティを確保し、国内工場での一貫生産体制によって信頼性を高めた、“Made in Japan”のAIサーバーを投入する。製造拠点は、富士通グループの富士通ITプロダクツが運営する笠島工場(石川県かほく市)で、スーパーコンピューター「富岳」やメインフレームなどの高信頼サーバーの製造実績を持つ。ここでプリント基板の製造から装置の組み立て、試験までを行うことで、バックドアなどのセキュリティリスクを最小化し、ハードウェアレベルでの透明性を確保する。

 ラインアップとして、まずは他社製プロセッサを搭載したモデルから製造を始める。2026年3月より、米NVIDIAの現行世代GPU「NVIDIA HGX B300」および「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition」を搭載したAIサーバーの製造を開始する。

 続いて、2026年度中(2027年3月期中)には、富士通が自社開発するArmアーキテクチャベースのCPU「FUJITSU-MONAKA」を搭載したサーバーの製造も開始する計画である。

写真1:「FUJITSU-MONAKA」は、2nmプロセスを採用し、高い省電力性能と処理性能の両立を特徴とする(出典:富士通 YouTubeチャンネル)

 FUJITSU-MONAKAは、2nm(ナノメートル)プロセスを採用し、高い省電力性能と処理性能の両立を特徴に、同社が次世代製品に位置づけるプロセッサである(写真1)。セキュリティ面では、メモリ上のデータを暗号化したまま処理する「コンフィデンシャルコンピューティング」技術をハードウェアレベルで実装しており、外部からの不正アクセスや脅威に対して強固な保護を実現する。

 これらソブリン性を持ったAIサーバーの提供にあたって、米Super Micro Computer(Supermicro)との戦略的パートナーシップを拡大する。Supermicroのサーバー設計ノウハウと富士通の製造・品質管理技術を組み合わせ、企画・開発から製造、販売、保守までを一貫して提供する体制を整える(関連記事富士通、省電力Armプロセッサ「FUJITSU-MONAKA」搭載のAIサーバーをSupermicroと共同開発、2027年に提供)。

 富士通では、今回製造を開始する一連のAIサーバーを、日本国内市場だけでなく、GDPR(一般データ保護規則)などデータ保護規制が厳しい欧州市場へも展開していく予定である。

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