生成AIが問い直す「私たちが諦めてきた仕事」
2026年2月12日(木)CIO賢人倶楽部
「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、住友生命保険 エグゼクティブ・フェロー デジタル共創オフィサーの岸 和良氏によるオピニオンである。

企業や組織が生成AIの活用について考えるとき、視点は「これから先」に向くことが多いと思います。
「今後やりたいことをどう実現するか」
「将来目指す姿に対して生成AIをどう使うか」
「次の経営計画で何に取り組むか」
生成AIは未来の仕事を実現する手段ですので、こうした考え方は自然だと思います。一方で企画や問題解決に携わってきた経験から、私は別の使いどころもあると感じています。
それは、過去にできなかった仕事を、もう一度やり直すための手段になりうるということです。この視点で生成AIを使うことは、とても重要だと考えます。
「できない理由」ゆえに見送り、放置してきた仕事は多い
企業には長い間手を付けられずにきた仕事が、数多く残っているはずです。例を挙げると、過去、検討された新規サービスの企画です。市場調査に時間がかかる、企画書の精緻化だけで数週間かかる、PoCを回す人員が確保できないといった理由で見送られた企画は、どの企業にも少なからず眠っているでしょう。
アイデアが悪かったというより検討するためのコストが重すぎたのですが、そうした仕事(企画)が、その後あらためて議論されることはほとんどありません。否定されたわけではありませんが、再び検討の場に戻ることもなく、静かに忘れられていきます。
このように多くの仕事は、「できない理由」が検討を続けるか否かに大きな影響を与えます。「時間が足りない」「人が足りない」「専門知識がない」「コストが合わない」──。こうした制約条件を前提としつつ、できる範囲で検討がなされてきました。
社内業務の改善もその典型でしょう。非効率だと分かっている業務があっても、「現場ヒアリングに時間がかかる」「業務フローが複雑で整理できない」「システム部門の工数が取れない」といった理由で結局、現状維持のままになっているようなケースです。問題が明らかであっても、それを掘り下げる負担が大きすぎる場合は「忘れ去られる」ことになります。
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