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[市場動向]

CTCと三菱総研、APNと「TiDB」で分散型データセンターの動作・性能・可用性を検証

70km圏の3拠点間でデータを遅延なく同期、拠点障害時も数秒で復旧

2026年2月9日(月)IT Leaders編集部、日川 佳三

伊藤忠テクノソリューションズは2026年2月9日、三菱総合研究所と共同で、全光ネットワーク(APN)と分散型データベースを用いて、分散型データセンターの検証を実施したと発表した。電力消費を抑制しながらデータ処理能力を高めるインフラの構築を目指すとしている。

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、三菱総合研究所(MRI)と共同で、APN(All-Photonics Network:全光ネットワーク)と分散型データベースを用いて分散型データセンターの検証を行い、その結果を発表した。

 検証にあたって、70km圏内のAPN接続を想定した2拠点の仮想データセンターと3つのリージョンを設置し、データ分散処理の動作や性能、可用性を確認する環境を構築した(図1)。

図1:全光ネットワークと分散型データベースを組み合わせた分散型データセンターの検証イメージ(出典:伊藤忠テクノソリューションズ)
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 分散型データベースに、PingCAPが開発するオープンソースの「TiDB(タイデービー)」を採用した。TiDBはMySQL互換でありながら、データを分割して複数拠点で複製・同期する機能を持ち、高い可用性と拡張性を備えているのが特徴だ。TiDBは、データを小さな単位に分割してデータベース間で複製し、更新時は全データベース間で整合性を保ちながら同期する(関連記事MySQL互換の分散型データベース「TiDB Cloud」がAzureで利用可能に─PingCAP)。

 上記の環境で検証を実施し、APNの低遅延環境においてTiDBが正常に動作し、A、B、Cの3つのリージョン間でデータベースの更新データが遅延なく同期されることを確認した。

 動作・性能については、低遅延通信のAPN環境においてTiDBが正常に動作すること、3つのリージョン間でデータベースの更新データが遅延なく同期されることを確認した。

 可用性については、TiDBの冗長構成により、リージョンAに障害が発生した場合でも、残りリージョンB、Cでサービスを継続できることを確認した。リージョンAの障害発生時、TiDBの内部処理によってリージョンBとCのクエリー実行が一時的に中断されるが、その時間は数秒程度にとどまるという。

 検証は2025年10月22日~28日に実施。CTCは検証用機器の調達、インフラの設計・構築、分散型データベース(TiDB)の設計・構築、検証プランの策定と実施を担当した。MRIは、総務省からの委託を受けてAPNの簡易実証基盤を構築すると共に、ユースケース創出に向けた分散型データベース構想を立案し、検証をCTCに依頼した。

 取り組みの背景として、近年、AIの活用拡大に伴う電力需要の増加や災害対策の観点から、データセンターを分散配置する重要性の高まりを挙げる。「従来の通信インフラでは、距離が離れると通信遅延がボトルネックになり、リアルタイム処理やAIの分散学習など低遅延が求められる用途での分散化は困難だった」(両社)こうした中、総務省は電気信号を光信号に置き換えることで低遅延・大容量・低消費電力を実現するAPNの整備を推進しており、今回の検証もその一環となる。

 CTCとMRIは今回の成果を踏まえ、次年度以降、実際のダークファイバーを活用した長距離伝送の検証や、実運用を想定したシナリオに基づく技術評価を実施する予定だ。将来的には商用サービスの展開も視野に入れ、技術課題の解決を進めていくとしている。

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