[市場動向]

富士通と中央省庁がパブリックコメント処理を生成AIで自動化する検証、12万字を10分で処理

富士通のLLM「Takane」を適用、2026年度中のサービス化を予定

2026年2月4日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

富士通は2026年2月3日、一部の中央省庁と共同で、国民から意見を募るパブリックコメント(意見公募手続)の業務に、生成AI/LLMを活用して、意見の分類や要約などの作業を自動化する実証実験を行ったと発表した。同業務に富士通のLLM「Takane」を適用し、これまで人手で行っていた膨大な確認作業を短時間で完了させるなど、業務効率化と品質向上の有効性を確認している。富士通は、今回の技術を応用した政策立案や法律制定プロセス向けの生成AIサービスを開発し、2026年度中の提供を目指す。

 富士通と一部の中央省庁は、国民から意見を募るパブリックコメント(意見公募手続)の業務に、生成AI/大規模言語モデル(LLM)を活用して、意見の分類や要約などの作業を自動化する実証実験を行った。同業務に、富士通とカナダCohereが共同開発したLLM「Takane」を適用し、これまで人手で行っていた膨大な確認作業を短時間で完了させるなど、業務効率化と品質向上の有効性を確認している(図1)。

図1:特定の中央省庁と富士通が実施した、パブリックコメントの賛否分類・要約をLLMで自動化する実証実験のイメージ(出典:富士通)
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 中央官庁や地方自治体がルールの制定過程で行うパブリックコメントは、国民の意見を政策に反映させる重要な仕組みである。しかし、富士通によると、国民の関心が高いテーマでは数千件から数万件の意見が寄せられることもあり、行政職員はそれらの内容確認、分類、既存法令との整合性チェックといった作業に忙殺されているのが実情だという。結果として、意見の精査や政策への反映に十分な時間を割けないことや結果公示までのリードタイムが長引くことが課題となっていた。

 そこで富士通は、2025年に一部の中央省庁と共同で今回の実証実験を行うことにした。その中央省庁は以前から、職員の業務負担の軽減と、パブリックコメントに寄せられた国民の意見を反映させる業務の品質向上に向けて、デジタル技術の活用を重視していたことから取り組むことになった。

 実証実験では、実際に寄せられた約12万文字におよぶパブリックコメントのデータを使用し、Takaneを用いて業務の効率化と精度の検証を行った。

 従来は職員が実際のパブリックコメントを読み込んで、「各意見の賛否の分類」や「意見の要約」といった作業を行っていた。このやり方では、結果公示までに1カ月間以上要する場合もあったという。これを自動化したところ、処理を10分程度で完了。職員は出力結果の点検や、意見の中身の検討といったより高度な判断業務に注力できる可能性が示された。

 また、意見公募の対象となる法令案と、寄せられた各意見との整合性チェック(法令案のどの条項に対する意見か)においても効果を確認した。Takaneに法令案の条項と意見を入力して参照させたところ、全体の8割を超える意見について、該当する条項を正しく特定できたという。

 実証実験で活用したTakaneは、高い日本語処理能力を備えているのが特徴である。富士通は今回の成果を踏まえ、パブリックコメント業務における意見の分類・要約にとどまらず、関連法令の調査やステークホルダーとの調整など、法制執務のプロセス全般を支援するAIワークフローの構築を進める。さらに、複雑な調査や調整を自律的に支援するAIエージェントの開発も予定している。

 同社は、今回の技術を応用した政策立案や法律制定プロセス向けの生成AIサービスを開発し、2026年度中の提供を目指すとしている。

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