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[イベントレポート]

AI活用の焦点はモデルからシステムへ─エネルギー・創薬大手が選んだAI基盤の現実解

ROI創出の壁を打ち破る、クラウデラのハイブリッド戦略

2026年10月5日(月)愛甲 峻(IT Leaders編集部)

さまざまな組織においてAI投資が急速に進む一方、投資対効果の向上は必ずしも順調ではなく、ツールの乱立やデータ主権の確保といった課題も浮き彫りとなっている。こうした課題に対し、米クラウデラはシンガポールで開催した年次カンファレンス「Evolve 26」の基調講演で、ハイブリッド基盤を中核にサービスやエコシステムを拡充し、ユーザーが求める環境でのAI活用と成果創出を支援する方針を打ち出した。講演にはユーザー企業として石油大手の米エクソンモービルと創薬大手の米アッヴィのキーパーソンも登壇し、現場におけるAI・データ活用の実践的な取り組みを明かした。

ROI創出と主権性確保のハードルを越えるためのアプローチ

 AIは「モデルの時代」から「システムの時代」へとシフトした──。シンガポールで行われた米クラウデラ(Cloudera)の年次コンファレンス「Evolve 26」基調講演で、同社 CBO(最高ビジネス責任者)兼Applied AI担当ゼネラルマネージャーのアバース・リッキー(Abhas Ricky)氏(写真1)はそう語った。

 「これまでの数年間、AIに関する支出の約8割はモデルのトレーニングに向けられていたが、2026年以降は推論のためのコストが大部分を占めるようになる。推論にはユースケースが不可欠であり、それを本番環境でいち早く構築するには“ハーネス”が必要だ」(リッキー氏)。ここでいうハーネスとは、生成AI/AIエージェントを安全かつ目的に沿って動作させるための各種ツールや実行基盤を指す。

写真1:米クラウデラ CBO(最高ビジネス責任者)兼Applied AI担当ゼネラルマネージャーのアバース・リッキー氏

 最近ではトークン消費量が想定を大きく上回り、AI関連コストが膨らんでいるとの声も聞かれる。そうしたなかで、AIの投資対効果(ROI)を妨げる要素として、リッキー氏は3点を挙げた。

 その1つは組織内に複数のAIエージェントやツール、インフラが散在し、統制が利かなくなるスプロール(乱立)状態である。2つ目はAIが業務を理解するためのコンテキストの不在である。リッキー氏によると企業データの9割がAI活用に適さない。3つ目は主権性(Sovereignty)の行き詰まりだ。データの所在に対する厳格なルールや統制が、AI活用の制限や遅れにつながっているとの指摘だ。

 クラウデラは、AIの開発から本番運用まで、必要な製品・サービスを組み合わせた統合基盤「Cloudera AI Factory」により、こうした課題の解消を支援する(図1)。環境を問わずクラウド的な体験を得られる一貫性(Consistency)、マルチモーダルなデータに基づくビジネス文脈(Context)、主権性を維持するための統制(Control)、マーケットプレイスを通じて最適なツールやモデル、クエリエンジンを使える選択性(Choice)、AIワークフローを実装する能力(Capabilities)――これらを一体的に提供するという。

図1:Cloudera AI Factoryの強み(出典:クラウデラ)
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 図2は具体的な製品・サービスからなるアーキテクチャだ。土台を支えるのが、パブリッククラウド、オンプレミス、プライベートクラウドが混在する環境でのAI・データ活用にフォーカスした「Cloudera Anywhere Cloud」だ。大規模なデータや外に出せないデータであっても、その所在を問わず、AIと組み合わせて活用できる点を強く打ち出している(関連記事:ハイブリッド環境に分散したデータにAIを届ける―モジュール型のAI・データ基盤「Cloudera Anywhere Cloud」を発表)。

図2:Cloudera AI Factoryの構成要素(出典:クラウデラ)
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●Next:ペタバイト級の産業データを活用するための環境を整備

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