[市場動向]

イトーキ、854人の行動データをAIで分析、会議の数が多いと翌日の心のコンディションが低下

2026年10月5日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

イトーキ(本社:東京都中央区)は2026年10月2日、本社オフィスで働く854人の行動データをAIで分析した結果を発表した。松尾研究所と生産性に関する共同研究に取り組み、会議、メール・チャット、オフィス内の移動など70種類の行動から生産性向上の因果関係を探索した。分析の結果、会議の数が多い日は翌日の心のコンディションが下がり、60分以上中断されずに作業できた日は上がる傾向があった。

 イトーキは従来、従業員への質問票調査(サーベイ)によって、働く人の状態を把握してきた。ただ、「状態が良いか、悪いか」は分かっても、「何を変えれば改善できるか」という因果関係までは特定できなかった。そこで2025年、松尾研究所と共同で、日々の行動データから生産性向上の因果関係を探索する研究を始めた(図1)。

図1:日々の行動データから生産性向上の因果関係を探索するモデルを構築した(出典:イトーキ)
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 分析の対象は、イトーキ本社の854人で、2025年12月1日から31日のデータを使った。行動データ70種類の内訳は、位置情報が21種、予定情報が4種、オンラインコミュニケーション情報が45種である(図2)。メール・チャットの内容は分析せず、データは匿名化した。成果の指標には、従業員一人ひとりの能力発揮度を設定した。

図2:分析対象となる行動データ70種類の内訳(位置情報21種、予定情報4種、オンラインコミュニケーション情報45種)(出典:イトーキ)
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 従来の相関分析は「会議が多い日は調子が悪い」という同じ日の関係しか分からなかった。会議が多いから調子が悪いのか、調子が悪いから(生産性が低く)会議が多くなるのかという原因と結果の向きも特定できず、翌日への影響も判断できなかった。

 今回、因果の推定に、時系列の因果探索手法「VAR-LiNGAM」を採用した。データの分布を手がかりに因果の向きを推定する手法「LiNGAM」を、時系列に拡張したものである。これにより、従業員一人ひとりの1日ごとのデータから「今日の行動が翌日の状態に与える影響」を推定した(図3)。

図3:日々の時系列から因果を推定する手順の概要(出典:イトーキ)
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 分析では、「設計・開発・企画」「営業・サービス」「管理」の3職種すべてで、会議の数が翌日の心のコンディションを下げた(図4)。会議の総時間より、1日に会議がいくつ入っているかの影響が強かった。逆に、会議などに中断されず60分以上まとまって作業できた日は、3職種の従業員の88%で翌日の心のコンディションが向上した。

図4:イトーキが推定した、行動とコンディションの因果関係(出典:イトーキ)
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 メール・チャットは、発信と受信で影響の向きが異なった。営業・サービス職では、受信が多い日に組織内の人間関係や体のコンディションが低下した。一方、自分からオンラインで発信した日は、組織内の人間関係のコンディションが向上した。オフィスの滞在時間の長さや、メール・チャットへの返信の速さは、能力発揮度への影響を確認できなかった。

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