[架け橋 by CIO Lounge]

異文化の壁を越える「共通言語」としてのデータ経営─海外駐在30年で試行錯誤した現場から

CIO Lounge 遠藤建世氏

2026年8月27日(木)CIO Lounge

日本を代表する百戦錬磨のCIO/ITリーダー達が、一線を退いてもなお経営とITのあるべき姿に思いを馳せ、現役の経営陣や情報システム部門の悩み事を聞き、ディスカッションし、アドバイスを贈る──「CIO Lounge」はそんな腕利きの諸氏が集まるコミュニティである。本連載では、「企業の経営者とCIO/情報システム部門の架け橋」、そして「ユーザー企業とベンダー企業の架け橋」となる知見・助言をリレーコラム形式でお届けする。今回は、CIO Lounge正会員メンバーの遠藤建世氏からのメッセージである。

 私が就職した1979年当時、仕事の道具といえば電卓と台帳でした。海外から届くFAXやテレックスに書かれた注文を確認して台帳に記入し、工場や出荷部門と調整しながら納期を回答する。月が替われば台帳を転記し、売上計算は電卓で行う。今振り返れば、のどかな一方で手間のかかる仕事でしたが、当時はそれが当たり前でした。

 1980年代の後半以降になるとPCが職場に導入されます。そうこうするうちに表計算ソフトや電子メール、基幹システムのSAPなどを使うようになって、仕事のスピードは大きく変わりました。時差のある海外拠点や顧客にも瞬時に情報を届けられるようになり、数字の把握ははるかに容易になりました。

 しかし中堅社員になっていた私は、そうしたITを「電卓と台帳に比べると、自分の仕事を格段に便利にしてくれる道具」としか捉えていなかったように思います。現場でそれなりの仕事を任され、役職にも就いていました。ITに興味や関心を抱かなくても業務遂行に支障はありませんでしたから、そういう捉え方だったのでしょう。

 それが大きく変わったのは、2000年代に入ってドイツの販売マーケティング会社の社長になったことを皮切りに、マレーシアや中国のBtoC事業、さらにイタリア、米国で自動車部品関連(B2B事業)の工場経営に携わるようになってからです。海外で会社の経営を担うようになって、ITが経営に不可欠なものだと痛感したのです。それはなぜだったのか、私の経験を書かせて頂きます。

●Next:文化も習慣も異なる海外拠点での「データ経営」実践、AI時代に経営トップに求められること

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