[インタビュー]

フロンティアAIで凶悪化するランサムウェア攻撃、かつてない“量と速度”にどう立ち向かうべきか?

米ガートナー ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリスト ポール・フルタード氏

2026年8月18日(火)鈴木 恭子(ITジャーナリスト)

最先端のフロンティアAIが生み出したのは、未知の攻撃手法ではない。従来のランサムウェア攻撃を、かつてない「量と速度」で実行できる環境だ。脆弱性の悪用やソーシャルエンジニアリングが加速する一方、防御側でもAIの活用が不可避になっている。こうした状況下、企業はどのようにセキュリティ脅威と対峙すべきか。米ガートナーのディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリスト、ポール・フルタード氏に、フロンティアAI時代のランサムウェア攻防と、企業が備えるべき運用体制やレジリエンスについて聞いた。

最先端AIが変える、ランサムウェア攻撃の「量と速度」

──近年、国内でランサムウェア攻撃の被害が拡大しています。フロンティアAI(注1)の台頭で、この状況はさらに悪化すると考えますか。

ポール・フルタード(Paul Furtado)氏写真1):日本に限らず、ランサムウェア攻撃の脅威は拡大しています。ただし、明確にしたいのは、「AIの進化によって新たな戦術が生まれたわけではない」ことです。フロンティアAIが変えたのは攻撃手法というよりも、攻撃の「量と速度(volume and velocity)」です。従来の攻撃手法が自動化され、より速く、より大規模に実行されるようになったのです。

 「攻撃者は侵入後、長期間潜伏する」という認識は、もはや現実に合いません。米セキュアワークス(Secureworks)が2025年に調査した1600件では、初期感染後、攻撃の80%は1週間以内、10%は2時間以内にランサムウェアの実行へと進んでいます。

 また、米パロアルトネットワークス(Palo Alto Networks)の分析部門Unit 42のデータでも、最も速い25%は72分で攻撃を終えています。攻撃の実行から情報窃取までの時間も、前年同期の10時間から2時間未満に短縮しています。昼食に出ている間に侵入され、ランサムウェアを実行される──それが現在起きていることです。

写真1:米ガートナー ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのポール・フルタード氏

注1:フロンティアAI(Frontier AI)は、AI研究開発の折々で最高性能・最先端の機能を持つAIモデルの総称。脆弱性の発見や高度な攻撃コードの生成にすぐれ、従来は発見が困難であった脆弱性が短期間に大量に発見され得ることに加え、脆弱性の発見から攻撃に至るまでの期間が大幅に短縮されることが指摘されている。

●Next:ランサムウェア被害を受ける企業の共通点とは

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