日本IBMは2026年8月25日、「IBM Enterprise Advantage」の国内提供を発表した。AIを活用したシステム開発の方法論をソフトウェア化したマネージドサービスである。開発支援ツール群やAI基盤、伴走支援などを提供する。米IBMは2026年1月に同サービスを世界で発表・提供開始しており、日本でも提供を本格化する。国内の販売目標は、2026年内に10件。
日本IBMの「IBM Enterprise Advantage」は、AIを活用したシステム開発の方法論をソフトウェア化したマネージドサービスである。開発支援ツール群やAI基盤、伴走支援などを提供する(図1)。
図1:AIを活用したシステム開発の方法論をソフトウェア化したマネージドサービス「IBM Enterprise Advantage」の概要(出典:日本IBM)拡大画像表示
背景には、AI活用の成果が企業によって異なる事情がある。米IBM傘下の調査機関によると、AIを個別業務に適用するだけでなく仕事そのものを再設計したうえで成果に到達した企業は全体の15%にとどまる。この15%の企業は、同業他社に比べて収益成長率が73%、営業利益率が11%それぞれ高い。
米IBMは、AIによる業務の再設計に自社で取り組んできた。全社の業務を490の業務フローに分解したうえで、70のプロセスをAI前提に再設計し、2025年に45億ドル規模の生産性向上効果を生んだ。現在は、4000を超えるAIエージェント(デジタルワーカー)を450以上のプロジェクトに配備し、社員と同じスキル認定を取得させたうえで人材の一員として運用している。
今回提供するIBM Enterprise Advantageは、こうした自社での実践で得たノウハウと手法をソフトウェア化し、マネージドサービスとしてユーザーに提供するものである。機能は大きく6つあり、これらの稼働基盤はクラウド事業者やAIモデルを問わず利用できる。
(1)「Process Studio」は、既存の業務手順書などから業務ロジックを抽出し、AI前提のワークフローへと再設計する機能である(図2)。後段のコーディングエージェントが読める形式で設計書と仕様書を生成する。
図2:業務を再設計する「Process Studio」の概要(出典:日本IBM)拡大画像表示
(2)「Context Studio」は、社内に散らばる企業の用語や規定、業務手順の知識をAIが使える形に変える機能である(図3)。矛盾やノイズなどを事前に点検し、基準を満たした知識だけをAIに渡すことが可能である。
図3:企業特有の用語や規定、業務知識を、AIが使える形に変える「Context Studio」の概要(出典:日本IBM)拡大画像表示
(3)「Product Workbench」は、Process StudioやContext Studioで整理した業務の設計内容をもとに、AIエージェントがコードを書いて実際のアプリケーションを構築する機能である(図4)。GitHubやJiraなどの開発ツール、Claude CodeやOpenAI Codexといったコーディング用AIエージェントと連携する。
図4:業務の設計内容をもとにコードを生成する「Product Workbench」の概要(出典:日本IBM)拡大画像表示
(4)「Agent Studio」は、複数のクラウド基盤にまたがって稼働するAIエージェントを、1つの画面でまとめて管理する機能である。
(5)「Advantage Insights」は、稼働基盤全体のトークン消費量やコスト、投資対効果を可視化する機能である。
(6)「AI Workspace」は、社員が自分の業務向けにAIエージェントを作り、社内のライブラリに保存して他部署の社員と共有・再利用できるようにする機能である。
このうち、Context StudioとAgent Studio、AI Workspaceは提供済みで、Process StudioとProduct Workbench、Advantage Insightsは2026年内に提供する予定である。
これらのソフトウェアは、顧客が指定したクラウドまたはオンプレミス環境に初期構築する。導入にあたっては、戦略・業務・技術の専門家で構成する少数精鋭チーム「Forward Deployed Unit(FDU)」が業務分析や設計、構築、テストを担い、顧客企業がノウハウを蓄積するまで伴走する。
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