ニトリホールディングス(本社:北海道札幌市)は2022年4月1日、同社グループのIT戦略・施策を担う新会社、株式会社ニトリデジタルベース(本社:東京都北区、所在地:東京都目黒区)を設立した。ニトリグループのITは内製開発を貫くスタイルで知られている。新設のニトリデジタルベースは、デジタルを生かした購買体験の提供やバリューチェーンの効率化などで、ニトリのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。設立に伴い、グループのIT部門/人材を2025年に700人、2032年に1000人まで増員する目標を掲げている。
グループのIT人材が集結するニトリの新デジタル拠点
家具・インテリアやキッチン用品、生活雑貨など暮らし周りのさまざまな商品を扱うニトリ。「30年ビジョン」の成長計画に沿ったグループ経営を支えるIT戦略として、情報システム、業務システムの内製開発を貫いていることで知られる。ニトリホールディングスのIT部門は、小売業の先例にとらわれない新しい技術を積極的に活用しながら、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。
そんなニトリが、グループのIT/デジタル化を一手に担う組織/拠点として、2022年4月1日に新会社ニトリデジタルベースを設立した。同年4月27日に新規開店したニトリ目黒通り店(東京都目黒区)に最初のオフィス「目黒オフィス」を構え、6月下旬より拠点の稼働を開始する。「ニトリグループのIT・デジタル人材、データサイエンティストが国内外から集結する拠点」(同社)としている(写真1)。
デジタルベースの始動に伴い、IT部門/人材をさらに強化する。2021年時点でニトリグループのIT人材は350人だが、2025年に700人、2032年に1000人へとIT人材を増員する。これにより、内製開発の強化をさらに進めていく計画である(図1)。なお同社グループは、新卒採用においても2019年からDX推進のためのIT人材枠を設定し、プロパーの人材育成も進めている。
ニトリホールディングス 代表取締役会長兼CEO/ニトリデジタルベース 代表取締役会長の似鳥昭雄氏(写真2)は、「都心に近いエリアである目黒で、エンジニアが自由に働き、パフォーマンスを発揮できる場としてニトリデジタルベースを設立した。フレックス勤務、在宅勤務の導入、服装規定もなくした。IT人材が働きたいと思う環境を追求する」と抱負を語った。
独自のビジネスモデル「製造物流IT小売業」を支えるIT部門
ニトリグループは、商品企画から原材料調達、製造、物流、販売までを一貫して自社でコントロールする「製造物流IT小売業」という独自のビジネスモデルを構築してきた(図2)。そのビジネスモデルを支えているのが、先に触れたIT部門の内製開発である。
例えば、新たな購買体験として、類似商品をレコメンドする「カメラdeサーチ」、売り場や在庫確認ができる「店内モード」などの機能を有する自社アプリ「ニトリアプリ」や、3Dで撮影された実店舗のコーディネートルームをWeb上で閲覧し、購入もできる「バーチャルショールーム」などを自社で開発してきた。
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同社グループは2003年~2032年を30年ビジョンの第2期として2032年までに3000店舗、売上高3兆円の目標を掲げている。そのビジョン達成に向け、グローバル事業をはじめ、事業領域拡大を進めている。折からのDX推進でIT部門の重要性は高まる一方であり、今回のニトリデジタルベース設立に至っている(図3)。
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ニトリデジタルベースの代表を、ニトリホールディングス 代表取締役社長兼COO 白井俊之氏(写真3)が兼任する。同氏は、「顧客に快適な環境を提供する裏側にデジタルの仕組みは必須。ニトリデジタルベースは当社のビジネスモデルや“住まいの豊かさを世界の人々へ提供する”という当社のロマン、ビジョンを実現する鍵となる」と語った。
●Next:目指すキャリアに向かえる働き方や制度─デジタルベース目黒オフィスの施設全容と特徴
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