[市場動向]

HAIPとZenmuTech、医療データを秘密分散で安全に転送する事業を開始

患者データを遠隔地のAIサーバーに転送して分析

2026年9月2日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)とZenmuTechは2026年9月1日、医療機関の患者データといった機密情報を、ネットワーク経由で安全に転送するセキュリティ事業を始めた。通信データを複数の分散片に分割・無意味化し、それぞれを複数のTLS通信経路で送信し、受け手側で復元する「秘密分散プロキシ技術」を使う。通信経路上で一部の分散片が漏洩しても、機密情報を守れるようにする。

 医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)とZenmuTechは、医療機関の患者データといった機密情報を、ネットワーク経由で安全に転送するセキュリティ事業を始めた(図1)。病院や診療所などに設置したPCから、患者の症状・カルテ・処方箋などのデータを遠隔地のAIサーバーに送信し、分析結果を返してもらう、といった使い方を想定している。

図1:秘密分散プロキシ(3分散の場合)の利用イメージ(出典:医療AIプラットフォーム技術研究組合、ZenmuTech)
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 特徴は、ネットワーク上で転送データの一部の分散片が漏洩しても、機密データを守れるようにすることである。このための要素技術として、両者が共同で開発した「秘密分散プロキシ技術」を使う。ZenmuTechが手がけてきた秘密分散技術を応用しており、転送したいデータを複数の分散片に分割・無意味化し、それぞれを複数のTLS通信経路で送信し、受け手側で復元する仕組みである。

 典型的なシステムは、送信側PCにインストールするクライアントソフトウェアと、サーバーの手前で動くプロキシサーバーで構成する。クライアントソフトウェアとプロキシサーバー間の通信に秘密分散を適用し、2つ以上のTLS暗号化通信経路を使って転送する。サーバーや送信側PCのアプリケーションは、間に秘密分散プロキシ技術が挟まっていることを意識することなく、アクセス透過型でデータを転送し合える。

 両者は、医療機関の情報セキュリティ対策に加え、病院・診療所・介護施設・薬局などを結ぶ地域医療連携ネットワークや、複数の施設間における医療情報の安全な通信・活用を支えるセキュリティ基盤としての活用を計画している。さらに、自治体、企業、研究機関など、医療機関と連携する幅広い分野への展開も検討している。

 HAIPは今後、ワーキンググループを組成し、医療機関、企業、研究機関などと横断的に連携しながら、秘密分散プロキシ技術を優先的に適用すべき領域や新たなユースケースの検討・実証を進める予定である。

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