[市場動向]
AWSジャパン、フィジカルAI開発支援プログラムの成果を発表、13プロジェクトが登壇
2026年9月1日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2026年8月31日、フィジカルAI開発支援プログラムの成果発表会を開催し、13プロジェクト14社が成果を説明した。AWSジャパンは同プログラムを同年1月に開始して51社(半数以上がスタートアップ)を採択、3月のキックオフから約6カ月にわたって支援した。
AWSジャパンは、2026年1月にフィジカルAI開発支援プログラムを開始した。51社(半数以上がスタートアップ)を採択し、3月のキックオフから約6カ月にわたって支援した。8月31日に開催した成果発表会では、13プロジェクト14社が登壇し、取り組みの成果を説明した(写真1)。
写真1:「フィジカルAI開発支援プログラム」の成果発表会に登壇した13プロジェクト14社拡大画像表示
フィジカルAIとは、センサーデータや言語での指示をもとにAIがロボットなどを制御して動かすシステムを指す。代表的な基盤モデルには、画像と言葉を受け取りロボットの動作を直接出力する「VLA(Vision-Language-Action)モデル」や、映像から物体や環境の動きの変化を予測して学習する「WAM(World Action Model)」などがある(図1)。
図1:フィジカルAIの概要(出典:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)拡大画像表示
AWSジャパン代表執行役員社長の白幡晶彦氏は、フィジカルAIを用いた社会課題の解決に不可欠な要素として、「スピード」(仮説検証を高速に回すスタートアップの機動力)、「現場の力」(物流・建設・製造の現場で蓄積した知見やノウハウ)、「クラウド」(基盤モデルの学習や大量データの処理、並列シミュレーションのための計算資源)の3点を挙げた。
登壇して成果を発表した13プロジェクトのうち、ダイフクはJDSCとともに、物流の無人化に取り組んだ(図2)。「棚Aの3段目に品を2個補充して」といった作業者の指示をAIがその場で作業単位に分解し、各段階の成否を判定し、失敗部分を再実行する仕組みを作った。学習していない商品と仕分け先の組み合わせでも、100回中97回、適切な仕分けに成功した。
図2:物流のピッキング作業を自動化する取り組みの概要(出典:ダイフク、JDSC)拡大画像表示
竹中工務店は、建設業の技能労働者不足を見据え、建設業に特化したモデルを開発し、塗装作業に適用できるかどうかを検証した(図3)。建設現場で使う道具(壁塗りローラー)の3Dデータが存在しない課題に対し、自社で3Dデータを用意し、実際の現場を撮影した映像から再現したデータと組み合わせて「壁をローラーで塗装する」作業の学習データを構築した。
図3:建設業向けモデルを開発し、ロボットに塗装作業をさせる取り組みの概要(出典:竹中工務店)拡大画像表示
メルカリは、越境取引の拡大にともなって増え続ける輸出検品作業の自動化に取り組んだ(図4)。検品は、倉庫の他工程に比べて約10~60倍の時間がかかる。ロボットモデルが持つ、力加減の制御、カメラ位置の変化による精度低下、学習データ収集の難しさという3つの課題に対し、力覚・触覚センサーのモデルへの統合や視点の再投影などで対処した。まずは靴の検品(9工程)に注力した。2028年には自社倉庫の約20%を自動化し、社内コストを年間最大2億円削減する計画である。
図4:輸出検品作業(箱から出して写真を撮影する作業)を自動化する取り組みの概要(出典:メルカリ)拡大画像表示
豆蔵は、産業向けに開発してきた「ヒューマノイドロボットでの板金整列アプリ」を拡張した(図5)。遠隔操作で収集した359パターンの動きをモデルに学習させ、部品の取り出しは従来のプログラム、整列はVLA(画像と言葉からロボットの動作を出力するモデル)という役割分担とした。整列の成功率は、上下方向で85%、左右方向で80%に達した。ロボットの下半身は、シミュレーション上の強化学習でしゃがみ動作・前傾動作を実現した。作業に必要な10関節に絞ることで、学習パターン数を43まで削減した。
図5:ロボットに板金部品を整列させる取り組みの概要(出典:豆蔵)拡大画像表示
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