東急建設は2026年8月31日、建設現場のKY(危険予知)活動を音声AIでデジタル化する実証実験の成果を発表した。紙への手書き記入が中心だったKY活動を、発話音声のデータ化と生成AIによる要約・評価に置き換えることで、記録業務の負担軽減と安全意識向上の成果を確認した。2026年度中に現場へと順次導入し、2027年度には全現場への展開を目指す。
東急建設は2026年3月から6月にかけて、建設現場のKY(危険予知)活動を音声AIでデジタル化する実証実験に取り組んだ(図1)。紙への手書き記入が中心だったKY活動を、発話音声のデータ化と生成AIによる要約・評価に置き換える取り組みである(関連記事:東急建設、建設現場の安全管理に音声AIを活用、NTTソノリティと実証実験を開始)。
図1:建設現場のKY(危険予知)活動を音声AIでデジタル化する取り組みの概要(出典:東急建設、NTTソノリティ)拡大画像表示
建設現場のKY活動は、毎朝、作業前に危険箇所を洗い出して注意喚起する取り組みである(写真1)。しかし、記録は紙への手書き記入が中心で、口頭でのやり取りの内容が十分に反映されない課題があった。記録作業自体の負担に加え、内容が簡略化されて形骸化しやすい点、データとして蓄積・分析・横展開しにくい点、活動の質を客観的に評価しにくい点も問題だった。
写真1:「危険予知活動」を行っている様子(出典:東急建設)拡大画像表示
実証実験は、東京都内など東急建設の複数現場で実施し、所長、現場監督、職長の計16人が参加した。システム要素は、NTTソノリティの音声AI「SonoVo AI」と、騒音対策技術を搭載した専用マイク「SonoVo Stick」である。
実験ではまず、現場での発話を音声AIが自動で記録・保管できるかどうかを検証した。操作のしやすさについて満足度100%の回答を得た。所長は「書き忘れがなくなる。紙が飛んでいくといったトラブルがなくなる」と評価した。ある職長は「KY用紙に書く内容以外にも多くの指示をしているが、事故が起こった際に、指示したことを証明できないことが不安だった」と指摘した。
もう1つの検証項目が、記録した音声を生成AIが分析し、危険箇所の指摘の具体性や注意喚起の質を「ABC」の3段階で自動評価する機能である。参加した職長7人全員が、ABC判定によって「安全をより注意する気持ちになる」と回答した。所長は「作業手順を理解できていない人を把握でき、適切な注意喚起につながる」とした。
東急建設は、今回の成果を踏まえ、2026年度中に音声AIを現場に順次導入し、2027年度には全現場への展開を目指す。高騒音下での認識精度の向上や、地下など通信環境に制約がある現場での運用継続が今後の課題となる。他ベンダーのデジタルサイネージなどとの連携も検討し、音声AIの活用範囲を安全施工サイクル全体に広げる。
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