[インタビュー]
生成AI時代の“Computer”は「柔軟で賢い働き方」を実現する─DevRev パンディCEO
2026年9月4日(金)田口 潤、愛甲 峻
自社のソリューションを「Computer」、その中核機能であるデータ共有基盤を「Computer Memory」と名付ける──あえて一般用語を製品名とし、その価値を世の中に訴求するのが、2020年設立のユニコーン企業である米DevRev(デブレブ)だ。IT産業の歴史を振り返っても、ありそうでなかったアプローチである。Computerというネーミングに戸惑いはなかったのか。どんな意味を込めているのか。そもそも同社は何を目指すのか。2026年8月に来日した、CEOのディーラジ・パンディ(Dheeraj Pandey)氏に聞いた。
2026年6月中旬に、米DevRev(デブレブ)というユニコーン企業、および同社のソリューションに関する記事を掲載した(関連記事:生成AI時代のデータ統合基盤、そして「コンピュータ」の姿とは?)。かなり長文であり、しかも「データ統合基盤」や「ナレッジグラフ」をテーマとする難解な記事だったにもかかわらず、多くの読者に読んでいただくことができた。
実は、記事を書いている時に浮かんでいた疑問がいくつかある。例えばDevRevのCEOの前職はHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の最大手である米Nutanix(ニュータニックス)のCEOだった。成功を収めている企業のトップを退任してまで新事業をスタートさせたのはなぜか? これがその1つである。
あるいは自社のソリューションを「DevRev Computer」と命名した。上記の記事で書いた通り、納得感はあるが、商標登録できないし、聞き手を混乱させてしまうような副作用もあるはず。どこまで確信を持ち、あるいはどういった想いで命名したか、もある。もちろん中核機能であるナレッジグラフ(ソリューションの名称は「Computer Memory」!)についても、いくつか疑問があった。
2026年8月、来日したDevRevのCEOであるディーラジ・パンディ(Dheeraj Pandey)氏(写真1)に、こうした疑問について直接、インタビューする機会があった。印象的だったのは、「Work Softer」を大切なメッセージ、DevRevのスローガンとして掲げていると語ったこと。同氏は、人がより柔軟に賢く働けるよう、人間とマシン(AI)の協働(man-machine collaboration)に重点を置いて、プロダクトの開発やイノベーションを進めているという。以下、一問一答形式でお伝えする。
写真1:米DevRev 最高経営責任者(CEO)のディーラジ・パンディ氏HCIがフラット化する一方、残存するデータサイロ解消に向け起業
──Nutanixを離れてDevRevを設立した理由をお聞きします。現在のNutanixは業績・株価ともに好調です。DevRevを設立した2020年前後も、やはりHCI分野で確固たるポジションを占めていました。そんな会社のCEOを退任されたのはなぜでしょう。迷いはありませんでしたか。
パンディ氏:2009年9月にNutanixを創業し、年間売上高が20億米ドルの規模を持つ高収益の会社に育て上げました(注1)。顧客による信頼度を示すNPS(ネットプロモータースコア)も、2014年頃の72から、2020年には90にまで高めることができました。
注1:2025年7月期の年間売上高は約25億4000万米ドル。
一方で大きなトランジション(移行、変化)の進展を強く感じていました。さまざまなITインフラがパブリッククラウドに集約され、オンプレミスのITインフラは以前ほど使われなくなってきていたのです。過去、IT産業では同様のトランジションが繰り返されてきました。1990年代のメインフレームから2000年代のクライアント/サーバーへ、さらにオープンソースソフトウェアへ、といった変化です。
もちろんメインフレームやクライアント/サーバーがなくなったわけではありません。同様にオンプレミスのITインフラも存在し続けるでしょう。しかし問題は、市場が高成長からフラットになったことでした。2022年に発表された米Broadcom(ブロードコム)による米VMware(ヴイエムウェア)の買収は、それを象徴しています。
このようなトランジションが進む中、私たちは新しい「ハイパーコンバージドソフトウェア」を作るべきだと考えたのです。ITインフラはクラウドに移行して集約されつつあります。情報やデータはそうではなく、さまざまなシステムやSaaSにサイロ化し、分散しています。これは問題であると同時にチャンスでした。ですから私たちは情報やデータを結びつけ、統合し、活用するための会社を創業したのです。
ご質問への回答を要約すると「企業が運用するビジネスソフトウェアをハイパーコンバージドする時期が到来した」と考えました。そしてナレッジグラフ技術に着目し、さまざまなビジネスソフトウェアが管理するデータを“ハイパーコンバージド“するソフトウェアを開発しました。
●Next:Computerの中核技術、ナレッジグラフに着目した理由
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