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計算化学の“最後の壁”を取り除く─Matlantisが原子レベルシミュレーターにAIエージェント連携機能を追加
2026年5月28日(木)河原 潤(IT Leaders編集部)
Preferred Networks(PFN)とENEOSの合弁会社であるMatlantisは2026年5月27日、汎用原子レベルシミュレーター「Matlantis」において、自然言語の指示でシミュレーションコードを作成・編集可能な「AIエージェント連携機能」を提供開始した。Anthropicの「Claude Code」やOpenAIの「Codex」をMatlantis上でシームレスに扱えるようにする機能で、計算化学の研究者が抱える、プログラミング学習という“最後の壁”を取り除くとしている。
Preferred Networks(PFN)と大手石油会社ENEOSの合弁会社として2021年6月に創業したMatlantis(マトランティス)。ディープラーニング(深層学習)で原子レベルのシミュレーションを高速化するクラウドサービスを開発・提供するAIスタートアップである(関連記事:深層学習で未知の安定結晶を高速に発見─Matlantisが原子レベルシミュレーターの新機能を提供)。
材料開発の領域において、計算化学はミクロな現象の可視化や理論的示唆の提示など重要な役割を果たしてきた、と同社は説明。「しかし、それを事業に応用するには、膨大な計算コストやソフトウェアの環境構築に加え、対象材料のドメイン知識、計算化学の理論、プログラミングといった広範な専門性が求められる」という。
Matlantisはこれまで、量子化学計算を置き換える高速・高精度なAIモデル「PFP(Preferred Potential)」を主軸に、環境構築不要のクラウドサービスとして計算化学研究のハードルを下げることに取り組んできた。「それでも、新しい解析を試したり論文を再現したりする際には、Pythonコードの記述や既存スクリプトの編集が必要であり、プログラミングという学習の壁が残っていた」(同社)と指摘する。
このような課題に対し、Matlantisは米Anthropic(アンソロピック)の「Claude Code」や米OpenAIの「Codex」の両コーディング/AI駆動開発エージェントをMatlantis上でシームレスに扱える連携機能の提供を開始した。ユーザーは自然言語で指示を出すだけで、シミュレーションコードの自動生成から実行、結果の解釈までを行うことが可能となり、計算化学における“最後の壁”を取り除くことができるという。
AIエージェント連携機能は、大きく2つの要素で構成される。1つは、AIエージェントにMatlantis特有の機能や仕様を参照させるためのナレッジ集「Matlantis用Skills」の公開である。汎用的な大規模言語モデル(LLM)には含まれない独自の仕様や、代表的な計算ワークフロー(構造緩和、分子動力学、反応経路探索、結晶構造予測など)の専門知識・手順をまとめたもので、GitHubの公開リポジトリを通じて先行配布している。AIエージェントにこれを読み込ませることで、研究者の意図を組んだ適切な出力が可能になるという。
もう1つは、Matlantis環境のターミナル上でAIエージェントをスムーズに動作させる連携の仕組みだ。同社はターミナルからClaude CodeやCodexを直接起動できるインストーラを近日中に提供する予定で、ユーザーは環境を切り替えることなく、一連のシミュレーション作業を対話型で進められるようになる(図1)。
図1:AIエージェント連携機能の仕組み(出典:Matlantis)拡大画像表示
●Next:AIエージェントが計算化学の研究/マネジメントにもたらすメリット
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Matlantis / AIエージェント / 化学 / R&D / Preferred Networks / Claude Code / Anthropic / OpenAI / Codex / 大規模言語モデル / Claude / ENEOS / スタートアップ / AI駆動開発
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