[市場動向]
金融システム全工程にAI駆動開発を適用へ、三菱UFJ銀行、日本IBMなど4社が提携
2026年7月7日(火)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
三菱UFJ銀行、三菱UFJインフォメーションテクノロジー、レッドハット、日本IBMの4社は、AI駆動開発を金融システム全体に適用する取り組みにおける戦略的パートナーシップを締結した。設計・実装・テストといった開発工程に加え、運用・保守を含むシステムライフサイクル全体にAI技術を組み込み、AI技術を前提とした新たな開発・運用モデルへと進化させるとしている。進行中の施策やプロジェクトも今回の枠組みに統合する。レッドハットと日本IBMが2026年7月6日に発表した。
三菱UFJ銀行、三菱UFJインフォメーションテクノロジー、レッドハット、日本IBMの4社は、AI駆動開発を金融システム全体に適用する戦略的パートナーシップを締結した。設計・実装・テストといった開発工程に加え、運用・保守を含むシステムライフサイクル全体にAI技術を組み込み、金融システムの開発・運用のあり方を変えるとしている。進行中の取り組みやプロジェクトも今回の枠組みに統合する。
協業の背景を次のように説明する。「金融業界を取り巻く環境が急速に変化する中、顧客ニーズの高度化やサービス提供スピードの向上が競争力を左右する要素となっている。一方で、金融システムは長年にわたり高度化・複雑化してきた結果、開発・運用・保守の各工程において多大な人的工数を要する構造となり、アジリティと品質の両立、ならびに運用効率の向上が重要な経営課題となっている」。
こうした課題に対して、三菱UFJ銀行は三菱UFJインフォメーションテクノロジーを通じて、以前からシステム開発のモダナイゼーションや運用の高度化に取り組んできた。今回の提携・協業は、「これらの取り組みを基盤に、AI技術を前提とした新たな開発・運用モデルへと進化させるためのもの」だという。
協業を通じて、現行サービスの維持・保守に多大な工数を費やしてきた従来型の開発手法から脱却し、設計・実装・テストなど開発工程全体をAIが高度に支援・自動化するAI駆動開発手法への転換を進める。
三菱UFJ銀行が先行して進めてきた開発モダナイゼーションの知見を生かし、分散系システムだけでなくメインフレーム領域にもAI技術の適用範囲を広げ、全システム領域で開発効率と品質を高める。加えて、運用・保守にもAI技術を適用し、可観測性の向上や自動化を通じてシステムライフサイクル全体の最適化とレジリエンス強化を図る。
三菱UFJ銀行と、同行のIT施策を支える三菱UFJインフォメーションテクノロジーに対して、レッドハットと日本IBMが基盤技術やプロジェクトの知見を提供する。
レッドハットは、コンテナ開発・実行プラットフォーム「Red Hat OpenShift」や「Red Hat AI」を含む同社の基盤全体で、AI駆動型開発を軸にした開発手法の標準化に取り組んでいる。加えて、パブリッククラウドとローカル環境の双方におけるAI活用を対象とし、セキュリティおよびガバナンス要件を踏まえた包括的な検討を進めている(関連記事:三菱UFJ銀行、勘定系システムを中心とするITシステムのアーキテクチャ刷新プロジェクトを開始)。
画面1:AI駆動開発のためのAIコーディングエージェント「IBM Bob」の画面例(出典:日本IBM)拡大画像表示
日本IBMは、同社のAI専門家チーム(IBM AI Lab)が三菱UFJ銀行における勘定系システムのモダナイゼーションプロジェクトなど複数の開発プロジェクトに参加し、AIを適用したシステム開発を進めている。システム開発・運用領域でのAI技術の適用可能性を検討しているほか、三菱UFJ銀行における次世代の運用検討支援で、レジリエンスを高めるアーキテクチャの検討に取り組んでいる(画面1、図1、関連記事:三菱UFJ銀行、勘定系システム開発プロセスのモダナイゼーションに着手、PL/Iコードを生成AIで生成)。
4社は、今回の提携・協業で得た知見や成果を継続的に発展させ、三菱UFJ銀行における金融システムの変革を着実に進めていく。さらに、金融業界全体を対象に、システム開発・運用の新たなモデルを確立するとしている。
図1:「金融次世代勘定系ソリューション戦略」に基づくロードマップ(出典:日本IBM)拡大画像表示
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