NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は2026年7月6日、広域GPUサーバークラスタの実証環境「GPU over APN Testbed」をサービスとして提供開始した。分散AI学習や分散AI推論、拠点間の大容量データ転送などを、札幌、金沢、福岡、大阪と首都圏4拠点(秋葉原、三鷹、川崎、横浜)のデータセンターを100G級の光回線で結んだ実機環境で検証できる。
NTTドコモビジネスの「GPU over APN Testbed」は、広域GPUサーバークラスタの実証環境である(図1)。札幌、金沢、福岡、大阪と首都圏4拠点(秋葉原、三鷹、川崎、横浜)、合計8拠点のデータセンターをつないでいる。ここにGPU付きの仮想マシンを分散配置し、分散AI学習や分散AI推論、拠点間の大容量データ転送(RDMA)、ストレージ接続などの性能を検証できる。
図1:「GPU over APN testbed」のイメージ図(出典:NTTドコモビジネス)拡大画像表示
GPU over APN Testbedの特徴は、拠点間を100G級のAPN(オール光ネットワーク)で接続し、サーバー間通信を低遅延・広帯域化していることである(図2)。これにより、大規模な広域サーバークラスタを、同一拠点にあるサーバークラスタと同等のネットワーク性能で運用できるようにしている。
図2:「GPU over APN testbed」の特徴。拠点間を100G級のAPNで接続し、同一拠点と同等の性能で使えるようにしている(出典:NTTドコモビジネス)拡大画像表示
背景には、生成AIの普及にともないGPUサーバークラスタの規模が拡大し、単一のデータセンターではリソースの確保や電力供給などが難しくなっている事情がある。同社はこうした事情に対して、地理的に離れたGPUサーバーをAPNでつないで一体運用する実証を重ねてきた。今回のテストベッドは、この成果を顧客が試せる環境として提供する。
写真1:NTTドコモビジネス イノベーションセンター IOWN推進室 担当部長エバンジェリストの張暁晶氏拡大画像表示
「サーバー間通信の遅延と帯域が学習性能を左右する」とNTTドコモビジネスの張暁晶氏(写真1)は指摘する。AIモデルの典型的な学習では、複数のGPUが学習データを分担して処理し、各GPUが算出した中間結果を一定のステップごとに互いに交換して同期を取る。このとき通信が遅い拠点が1つでもあると、全GPUが同期完了を待つことになり、学習全体の速度が落ちる。推論についても、複数のGPUで大量のリクエストを分担して処理する使い方が一般化しており、途中結果を交換する際に広帯域・低遅延のネットワークが必要になる。
同社は以前、70億パラメータ規模の大規模言語モデルの事前学習を100G APN接続の分散データセンター環境で実施した。単一データセンターでの学習時間を1とした場合、APN経由の分散環境では1.005倍とほぼ同等の時間で学習が完了した。一方、帯域と遅延の条件を悪くした汎用ネットワークでは5倍以上に学習時間が伸びたという。
GPU over APN Testbedの利用企業数として、2027年度末までに20件以上の実証を誘致したいとしている。企業は、テストベッドで検証後、必要に応じてNTTドコモビジネスが提供している広域APN接続データセンターで実運用可能である。
NTTドコモビジネス / GPU / クラスタリング / 生成AI
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