[新製品・サービス]
システム障害の根本原因をAIで自律的に特定・修復する「Dynatrace Intelligence」
2026年6月11日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
システム監視/オブザーバビリティ製品ベンダーのDynatraceは2026年6月10日、説明会を開き、米国で同年1月28日に発表した新機能「Dynatrace Intelligence」の機能・特徴を紹介した。決定論的AIとエージェンティックAIを組み合わせた構成をとる。システム障害時の復旧作業など、監視データを基にした判断と運用操作を自律的に行えるようになる。
「Dynatrace Intelligence」は、システム監視/オブザーバビリティツール「Dynatrace」に追加したAIエージェント型の運用自律化機能である。決定論的AIとエージェンティックAIを組み合わせた構成をとる。システム障害時の復旧作業など、監視データを基にした判断と運用操作を自律的に行えるようになる(図1)。
図1:システムの監視から運用までを自律化する「Dynatrace Intelligence」を構成する主なエージェント(出典:Dynatrace)拡大画像表示
2つのコンポーネントを中核に据える。1つはデータレイクハウス「Grail」で、メトリクス、ログ、トレース、ユーザー行動、セキュリティイベント、ビジネス指標などを統合管理する。読み出す時点で初めてスキーマを適用する仕組みを採用し、インデックス不要で任意のクエリーに低遅延で応答する。
もう1つはトポロジグラフ「Smartscape」で、ビジネスサービス、プロセス、インフラにまたがる依存関係をリアルタイムに自動でマッピングする。障害発生時に通知すべき担当者をシステムが即座に特定できるよう、カスタムエンティティや所有者情報を付加することもできる。
既存の監視ツールの多くは、異常検知後の原因分析を人手に委ねる。Dynatrace Intelligenceはこの課題に対し、SmartscapeのトポロジグラフとGrailのテレメトリデータを基に、依存関係グラフを木構造で辿って障害の根本原因を決定論的に特定する。こうして得た文脈情報をもとにエージェント型AIが修復手順の立案から実行までを自律的に処理する。
原因を決定論的に特定するためのエージェントとして、「Root Cause Agent」(根本原因の分析)、「Analytics Agent」(Grailデータの要約・分析)、「Forecasting Agent」(予測)に加えて、「Operator Agent」(エージェント間の調整)がある。
これらの基盤エージェントの上位に、SRE、開発、セキュリティの各IT運用を担当するエージェントがあり、異常検知から修復計画の実行まで一連の処理を担う。LLMは文脈情報の補完や推論に使い、確度を要求する判断は決定論的AIに委ねる。これにより、誤った自動操作を抑制する。
主なユースケースとして、自律修復、自律防御、自律最適化を挙げている。自律修復は、障害の検知から根本原因特定・復旧までを自動化する。自律防御は、外部から到達可能なシステム上の脆弱性をリアルタイムに検知して対処する。自律最適化は、クラウドリソースのコストや性能を継続的に調整する用途を想定している。
Dynatraceが行ったベンチマークテストによると、外部のSREエージェントと同社の決定論的AIエージェントを連携させた場合、決定論的AIを用いない構成と比べて問題解決件数が最大12倍、解決速度が3倍になり、コストは半減したという。
外部システムとの連携について、「ServiceNow」との連携では、Dynatrace Intelligenceが特定した根本原因情報からチケットを自動発行し、担当チームへの割り当てまでを自動化する。「AWS DevOps Agent」との連携では、設定変更やデプロイのロールバックといったAWS環境上の修復操作を自律的に実行する(図2)。「GitHub Copilot」との連携では、根本原因に基づいてコード上の問題箇所を特定し、修正からCI/CDパイプラインを通じた本番投入までを自動化する。
図2:AWS環境を自律的に修復する外部システム連携の例(出典:Dynatrace)拡大画像表示
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